【黒バス】私は幸ちゃんにしか興味ありません【笠松幸男】 続編

第9話 ページ9

リコside



私がそいつを好きになったのは、去年の夏頃。



その日は特に急いでいて、

部活が終わったあと用事を済ませてすぐ1人で帰っていた。



いつもパパに1人はダメって言われてるけど、そんなこと気にしてられるわけない。

けどその日はいつもと違った。







「なにしてんの〜？こんな夜に1人で。」


「狙ってって言ってるようなもんだよな。」






暗いところで変な奴らに絡まれてしまった。

今日も帰ったらやることたくさんあるのに…本当に面倒くさい。






「私用事あるの。早くそこどいてくれる？」





半分キレ気味でそう言った。

私は他の女の子より威圧があるらしい(男子バスケ部曰く)。

だから大抵はこれでどっかに行ってくれる、はずだった。





「用事とか知らねぇし。早く行こーぜ。」





今日に限ってそれは通用しなかったようだ。

男が強い力で私の腕を引っ張ってくる。





「ちょ、離して！！」





このままじゃ本当に連れていかれてしまう。

どうしたらいいのか悩んでいた時だった。









「俺の彼女に何してんだよ。」




聞き覚えのある声がした。





「あ？なんだてめぇ、やるのかおい。」


「いいぞ別に。かかってこいよ。
その代わり、それ以上そいつに近づいたら…ぶっ飛ばすぞ？」





やっぱり日向君だった。

暗がりで日向くんの顔はほとんど見えなかったけど、すごい怖いっていうのは伝わった。






「こいつやべえって、行くぞっ！」





そう言うと同時に男達は私の前から逃げていった。

その瞬間、日向君が駆け寄って来て私を抱きしめた。



日向君の謎の行動に私は驚きを隠せなかった。






「ちょ、え！？」


「あれ？髪短い？」






そう言って私から離れて顔を見つめてきた。

私が誰かをようやく認識したらしく、目が大きく見開かれる。






「か、監督！？」


「私に決まってるでしょ！誰だと思ってたのよ。」


「いや暗がりだから誰かわかんなくってよ。声、似てたから…」






一体誰と勘違いしたのだろうか。

抱き締めたりするってことは日向君にとって大切な人だったりするのかな。



ん？私なんか少しガッカリしてない？

しかもどうして…どうして…




「わりぃな監督、送るわ。」


「う、うん。」









日向君に抱き締められたからってこんなにドキドキしてんの！！

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