【黒バス】私は幸ちゃんにしか興味ありません【笠松幸男】 続編

第33話 ページ34

笠松side


日向の涙に俺は言葉を発せないでいた。

その涙の意味を俺は理解することがその時できなかったからだ。




「笠松さんは俺にないものを持ってるじゃないですか。
あいつは笠松さんがいるだけで、そばに居るだけで笑顔になるんすよ。
それなのに勝手に諦めないでくださいよ。そうじゃないと…」




そうして日向は俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。





「諦めたくてもAのこと諦められませんから。」





そう言って日向は元来た道を帰ろうとしていた。





｢Aに会わねぇよかよ！｣


｢こんな顔であっても心配かけるだけっすから。
また明日にでも来ます。｣





俺はその姿を見ながらAの病室へ戻った。

理由は1つだった。








コンコン






「はい。」


「俺だ。開けてもいいか？」


「…今日は帰ってくださいとお願いしたはずです。」


｢このままでいい。聞いてほしいことがある。
もう俺はここには来ない。｣






俺がそう言った瞬間、中で｢えっ｣という声が聞こえた。

構わず続けた。






｢だから、夏にある花火大会に来て欲しい。
Aと一緒に行きたい。7時、鳥居の前で待ってる。｣





その約束は3年前俺達が約束していたはずの場所だった。

今度こそもう一度そこで俺の気持ちを伝える。

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