【マギ】白銀の炎帝妃外伝 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:5,109 hit

Ⅰ‐③ 右目ページ3

同業者であろう文官風の青年に連れられ、王宮に入る

煌の禁城に負けないくらい大きく、外観や内装が綺麗だ

(そりゃそうか…王が住むところだもんね)

苦笑しながら青年を追いかけていると、一際大きな部屋の前に着いた

立ち止まった青年がAの方を向き、警戒した口調で告げる

「ここにシンドバッド王がいらっしゃいます。かねてより、貴方の噂は王はもちろん、我々八人将も聞いておりました。そこで、是非会いたいという王の命で連れて参ったのです」

『なるほど、理解しました。ですが、そうならそうとおっしゃっていただければ…』

「私は貴方を信じておりませんので。昔の私と同じ匂いがするということは、暗殺者でしょう？」

『それは王の前で直接申し上げます。それに、ここに来る前にお話したはず。危害を加えるつもりはないと…』

「……」

Aは試すような鋭い視線を一瞬向け、すぐに微笑を浮かべる

『その言葉だけ信じていただけませんか？』

「…では、その剣をこちらに」

『はい』

Aは笑顔で腰に提げる剣を渡す

これでようやく青年が信じてくれたようだ

例え一時でも…

青年の指示で目の前の扉が開く

扉が開いたその先には椅子に座るオーラが眩しい男性と、周りに七人の男女が並んでいる

仲には爬虫類のような体の人もいた

これが、シンドリアの八人将たちだ

(爬虫類っぽい方は炎彰殿のように眷属と完全に同化してあんな身体になったんだ…)

ちなみに今、半同化して銀色になった瞳で周りを見ている

左目はもとより見えているが、本来見えていないはずの右目は眷属の力を借りて見えるようになった

その時、深紅だった瞳の色は銀色に変化するのだ

実際この国に降り立ってすぐに(商人たちを見送ってから)眷属の力を借りているので、瞳の色は銀色だ

他の国では半同化がまだ完全ではなかったので、何も見えていない状態で過ごしていた

見えていたのは、相手の顔を確認するときに左目を開けるか、同化を進めるために右目で試しているときくらいだ

(今思うと、ややこしいことばっかりやってたな～)

本人でも苦笑するが、今はそんなことを考えている場合ではない

目の前に座るシンドリア王国の王、シンドバッド王はAを見て嬉しそうに笑う

「我がシンドリア王国へようこそ“銀翼”殿！君の噂はよく聞いているよ」

一体どんな噂だろうか…

と考えながら、目の前の相手に笑顔を向けた