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５２．制覇 ページ6
青秀が駐屯地へ戻って行ってからまた１ヶ月が経った
蒼は書館を見回す
見た範囲の棚は全て制覇した
統計も地理も歴史も全て蒼の頭の中に入っている
ものすごく読み込んだから、これから１年は持つだろう
ついでにトラン語を要する碑文も読み解いてきた
これについては紅炎も褒めてくれるに違いない
(何嬉しがってんだ…私は…)
いつの間にか顔の筋肉が緩んでいたことに気づき
ささっとなおす
敵に褒められても何も嬉しくない…
嬉しくないはず…
『んんんん！もういい、このことは！！』
強制的に思考を止める
それしかこの複雑な気持ちをなんとかする方法がない
最近自分でも本当におかしいと思う
敵の本拠地で揺れ動く気持ちを押し殺さなければ、
任務を全うしなければ、
この禁城にも月華にも自分の居場所はない
(殺せという命令は出てないから…まだ大丈夫)
そう。まだ様子見なのだから
宮中を調べるだけなのだから
『それにしても…長い遠征だ』
さっきまで考えていたことも強制的に排除して
代わりに本当に思っていたことを口にする
『そろそろ会いたいな…』
自分が言ってはダメなことを言ったのは分かっている
でもいつかは殺す相手の様子を見ることはおかしいだろうか
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作者名：悠葉 | 作成日時：2018年3月7日 0時
