【マギ】白銀の暗殺者 Ⅱ (ページ44)

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１２．心ノ誘導ページ44

「いい？A…あなたの病気のことは誰にも言ってはいけませんよ。言ってしまうと街の皆が苦しむし、紅炎とも離れなければいけなくなる…それは嫌でしょう？」

『！！』

「分かりましたか？」

『はい。絶対に言いません』

顔を伏せ、悲しそうな表情のAに、玉艶は優しく言葉をかける

「大丈夫。３年以内には治ります。道は長いけど、そのくらい大きな病気だから…我慢できますね？」

『我慢してみせます』

顔を上げたAの表情には先ほどのような悲しみが浮かんでいない

玉艶はそれを見て顔を歪ませる

自分が利用されているとも知らずに、哀れな娘だと

(このままの調子だと…陛下が統一するのが約２年後。そして私があの方を殺し…何か探っているあの子たちを殺す。この娘が成功しても失敗しても、菱陽を滅ぼすし、娘についての紅炎たちの記憶も消すわ)

卑劣な考えが玉艶の胸の奥に眠っていることに気づかず

ただ謎の病気を治すことしか考えていないA

この娘には相当な魔力量がある

心を完全に黒ルフで染め上げ、自分の操り人形にする

玉艶は我ながらよき考えだと心の中でほくそ笑んだ

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――１月後

白徳帝、白雄、白蓮、そして紅炎、紅明は遠征に向かった

勝ったものの、兵の多くを失い、心は限界だった

遠征から帰還する際、一行は菱陽へ立ち寄った