【マギ】白銀の暗殺者 Ⅱ (ページ43)

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１１．魔女ノ思惑ページ43

「紅炎…お前はなぜAがここに来たか分かるか？」

「え……菱陽の領主が陛下に呼ばれてついてきたと聞きました」

「そうか」

白雄は難しい顔をしていた

眉間にしわが寄って、考え事をしているようだ

「確かに父上は菱陽には世話になっているから、街の少年少女の見聞を広めようとここに呼んだ。この国のために呼んだのだ。だが…その父上のお考えを利用している者たちがいる」

「！！」

「兄上。それは先ほどの母上の行動と関係があるのですね？」

「…そうだろうな」

「ッ…何を！Aは何をされるのですか！」

思った以上に大きな声が出て自分でもびっくりした

皇后玉艶と関係があるとしたら、数年前連れてきた神官集団だ

神官集団がAに何かしているとしたらと思うと、怒りがわいてくる

そんな紅炎を見て、２人の皇太子は微笑む

「紅炎はAが本気で好きなんだな。いいと思うぞ」

「兄上のおっしゃる通りだ！Aはいい妃になるぞ！紅炎がAの心を掴めばの話だけどな」

「んな！掴んでみせますよ！！」

白蓮は紅炎の頭を撫でる

２歳ほどしか変わらないのに、自分よりも大人な白蓮

父である皇帝や兄の白雄の側にずっといたからだろうか

自分も早くそうなりたいと思う

「お前とAのことは応援するが、母上には気を付けた方がいい…あと神官集団もな。あいつらは得体が知れない。俺たちも知らないことばかりだ」

白雄の言葉に紅炎は頷き、自室へと戻る皇太子２人を見送った

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『皇后陛下、また体の治療ですか？』

「そうよ。あなたはこの国の大切な若い命。しっかりと体調を管理しないとね」

『あの治療…痛いんです。体中が引き裂かれるような感じで…』

「ごめんなさいね。でもあれは全てあなたの体を守るためにしているのよ。体の中の病気を完全に消すためにね」

『他の皆も私と同じ病気ですか？』

「そう…かわいそうに。もう少し早く気づけていればよかったわね」

玉艶は右手でAの手をつなぎ、左手で自分の口を隠す

泣くふりをしながら笑う

もちろん病気というのは嘘である

夫である皇帝が菱陽の領主を呼ぶと言い出した時

子どもを５人ほど禁城に連れてこようと提案したのは玉艶だ

そして見聞のためと言いながら、玉艶はこの子どもたちを使い実験をしている

黒ルフを使い、自身の操り人形を作る実験を―――