【マギ】白銀の暗殺者 Ⅱ (ページ40)

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８．憧レノ恋物語ページ40

「お前…強くなったな」

『そうですか！？ありがとうございますー！！』

Aに手合わせを申し込まれ、今この状況だ

Aの一太刀を受けただけで分かる

(こいつ…かなり才能がある)

紅炎に褒められ照れ笑いをしているAをまじまじと見た

母に剣を習っているのは知っている

筋を見る限り、Aの母はずいぶん強いのだと思った

「お前の母は相当強いんだな」

『はい！だってお母さんは紅炎様のは……やば。秘密だった…』

「…俺のなんだ？」

『い、いえ！なんでもありません！！』

困ったように笑い、手を振っている

秘密と言っていたが、自分たちに言えないことなのだろうか

「教えろと言ったら？」

『お母さんは怒ると本当に怖いので言えません』

顔を青ざめさせて言う

強い。怒ると怖い。キーワードを並べていくと

Aの母がどんな体つきかなんとなく見えてくる

ちなみに紅炎が想像するのは“筋肉がたくさんついており、背も高い屈強な戦士”のような…

『紅炎様ひどいです。私のお母さんはそんな格闘家みたいな感じじゃないですよ』

「！！……お、お前心が読めるのか？！」

『最低です』

「うっ…」

頬を膨らませて紅炎を睨むA

さすがにその眼は紅炎にも応える

考え込みすぎたようだ

『私のお母さんはナイスバディの美人さんです。ちなみにお父さんは街の中で１、２を争う美男で、鍛冶としての腕も抜群です』

「それはそれは…すごい両親だな」

『もちろんです。自慢の両親です』

得意げに話すA

(だからこんな可愛い娘が生まれるのだな……Aの両親に感謝だ)

うんうんと頷きながら、顔が緩む

『それはそれは大変な恋物語だったようですよ？周りに敵が多すぎてお母さんはいじめられていたそうです』

まあそうなるだろうな、と紅炎は思う

『いじめられるのは嫌だけど…私も胸が苦しくなるような恋、してみたいな～』

「！！」

大きな恋物語に憧れる少女

紅炎は手に力をこめる

心臓が大きく脈打ちながら震える声を出した

「…俺とだったら……できるだろう…？」

『！』

Aが目を丸くして、顔は薄紅に染まっている

『じ……冗談はやめてくださいよ～！』

「……」

『私は平民、紅炎様は皇族です！そんなの…』

そう言ってAはうつむいた