【マギ】白銀の暗殺者 Ⅱ (ページ29)

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７５．不敵ページ29

『次会ったら今度こそ敵です。煮るなり焼くなり好きにしてください』

Aは深呼吸をする

光の灯った目で紅炎を見ていた

『…貴方様とまた会えてよかった。私は私を取り戻すことができた。Aはまだ…死んでいなかった』

Aの左頬に涙が伝う

『次現れる時は、この国の魔女を殺すときか…内乱が始まるときか…この国に殺されるとき…何年後か、何十年後か、はたまた明日か明後日か…』

紅炎に背を向けてAは歩きはじめる

歌うように、子供に物語を語るように言葉を紡ぎながら

部屋から庭へと続く扉を開け、少し歩いたところで止まった

『８年前、業火の街から生き残った唯一の人間はこの国の英雄か、罪人か…それはいつか分かること。さようなら紅炎様。探さないでくださいね』

振り返ったAが不敵に笑うと、薄闇の中に消えて行った

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「あーいたいた！待ち伏せしててよかった～！」

『り、燐！？』

禁城をこっそり抜け出すと思いもよらぬ人物が待っていた

まあよくよく考えてみると思いもよらなくないが…

『なんであんた…ここにいるのよ』

「なんとなく予想してたんだよ。お前が月華を裏切るってこと」

『あんたの勘はいつも当たるからね…』

Aは半眼で見つめる

そんな目を気にせず燐は笑っていた

「安心しろ。俺はお前の味方だ。お前について行くよ」

『…なんかカッコいいこと言ってるけど、ついてこられるのは嫌』

「はぁ～！？お前、せっかく俺が…」

何かブツブツ言っている燐を放っておいて

Aは歩き出す

そしてふと思い出した

『そういえば、暁(キョウ)は？』

「ああ、暁なら先に行って待ってるって」

『そう、なら話が早いわね。行くよ！燐』

「分かってるって！」

Aは禁城を見る

いろいろあった場所だが、一旦ここでおさらばだ

『さーてさて、世界一周旅行はじめるぞ！』

旅行になるかどうかは、この国次第だが

Aはいつにも増してワクワクしていた