【マギ】白銀の暗殺者 Ⅱ (ページ3)

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４９．出世ページ3

『ふわぁ～』

「なーにあくびしてんだよ」

『うおっ！？』

「もう少し女らしい驚き方できねぇのかよ…」

地理関係の資料もあと少しで終わりというところであくびをしたら

青秀がいて驚いた

誰もいないと思っていたのだが、資料に熱中しすぎて気づかなかったのだろう

(女らしくないとは…心外な)

蒼はムスッとして青秀を見る

「な、なんだよ。その顔…」

『いーえ、別に。それにしても青秀殿だけなのですか？』

「ああ。紅炎様や他の皆さんは忙しいからな。紅炎様にお前がどうなってるか見て来いって言われた」

『え、紅炎様は保護者ですか…？』

「はっ！？お前、あの紅炎様が心配してくださっているんだぞ！！」

『別に心配などいらないとお伝えください』

蒼はそっけなく返す

紅炎からの心配など別に受け付ける義理はない

蒼の本当の素顔は知られなくとも

これからべつに死んでもいいと思われる存在なのだ。自分は

(私がどこで死んでいようと、別に気にしないんでしょ？)

今蒼が考えていることも分からないくせに

自分の立場がどんどんなくなっていくことに悩んでいる蒼を

「そういえば、お前と一緒に来た…えっと、なんつったっけ？」

『征燐ですか？』

「そう！そいつ、紅明様の側近になったんだって？出世じゃねぇか！」

『白瑛様から紅明様に変わるのが出世なのですか？』

「そりゃそうだろ！この国の軍師様だぜ！」

『へぇ～』

その言葉を聞いて、白瑛と白龍の立場は本当に逆転してしまったのだと思った

先帝の弟、現帝が即位してから煌帝国はもう「紅」の時代だ

「白」はもう皇族の中でも一線引かれた場所に存在している

月華は「白」に仕えていた

だから現在の「紅」に不満を持っている

「白」の時代から大きく変わり、街も変わってしまったから

蒼の考えなどお構いなしに青秀は口を開く

「蒼夜、お前ずっとここに籠ってたのかよ」

『ええ。最近はずっと…』

「ちょっと外に出るぞ」

『え、ちょ！あともう少しで読み終わるんですけどーーー！！』

そして青秀は蒼を引きずりながら書館から出た