10 ページ11
Aが広げられた紙を首を傾げ眺めると、どれがいい？と九井が尋ねる。
大寿「オイ、」
「大寿君の？だったらコレかなぁ。コッチのは紐がブラブラして邪魔そう。あーコレも良いけど、動きやすさだったらコッチもいいなぁ…」
何用の服かと尋ねるAに、九井は新しい特攻服だと答えた。
それを聞いた彼女は目を輝かせ、大寿を振り返る。
「ねぇ大寿く」
大寿「駄目だ。」
「まだ何も言ってないんだけど！」
大寿「どうせ自分も混ぜろとか言うんだろ。」
大寿の言葉に、Aは目を丸くさせ口を手で覆った。
「やだ…なんでわかったの？以心伝心？」
大寿「お前の考える事なんてわかりきってるんだよ。」
「そんなに私の事好きなの？大丈夫安心して、私の方が大寿君の事いっぱい愛してるから！」
Aは制止する大寿の手を掻い潜り彼に抱き着くと、その胸板に顔を擦り寄せ幸せそうに微笑む。
呆気にとられた表情の乾に気付いた九井が、「いつもの事だから気にするな」と耳打ちをすると、彼は何とも気まずそうに頬を引きつらせた。
＿＿＿＿＿
翌週末。
注文していた特攻服が届くと聞きつけ、Aは柴家のリビングで待機していた。
もちろん情報元は九井だ。
昼前にインターホンが鳴り、九井と乾が到着する。
二人の手には、紙袋が複数下げられていた。
大寿は九井から紙袋を一つ受け取ると、自室へと向かう。
すかさずAが共に入ろうとしたが、大寿は彼女の額を指で弾き、阻止して部屋へと入った。
数分後大寿がリビングへ戻ると、ソファに座っているAが胸を押さえ、うめき声を上げ蹲る。
乾「どうした！？」
「大寿君が素敵過ぎて言葉に出来ない…無理…かっこいいが過ぎる…全私が泣いた…」
顔を上げたAは、恍惚とした表情で涙を流していた。
彼女は自分のバッグから一枚の紙を取り出すと、大寿の足元に置いて跪いた。
「幸せにするので結婚して下さい。」
九井「色々おかしくね？」
Aが置いたのは、妻の欄が記入済みの婚姻届だった。
大寿は頬をピクリと引きつらせると、紙を拾いシュレッダーにかけた。
「ジーザス！！」
大寿「どうせコピーだろ。そもそも結婚は16と18からだ。」
「じゃあ大寿君が18になるまで待ってる。」
大寿「勝手に言ってろ。」
大寿は鼻で笑うと、隊服のボタンに手をかける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 875人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
子持ちししゃも(プロフ) - ムーンさん» コメントありがとうございます！もうすぐ完結なので、是非最後までよろしくお願いします🙏 (5月22日 15時) (
レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - きゃー🥰大寿といよいよですね、ドキドキワクワク🤣 (5月22日 8時) (レス) @page50 id: 899026d120 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - あの場面！！だいじゅが倒された場面やぁ…タカチャンがやられる前に気絶させるのは見させたくなかったとはわかる。 (5月11日 9時) (レス) @page45 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(元シオン)(プロフ) - 教会からの物音って……まさか、タカチャン達が……これは夢主がハラハラしてしまう (5月9日 17時) (レス) @page44 id: aaf368f7e9 (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - 鈴桜(元シオン)さん» いつもコメントありがとうございます🤭教会の場面は、この作品を書き始める時からイメージしてたので早く載せたいです！ (2023年4月22日 10時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：子持ちししゃも | 作成日時：2022年5月7日 16時
