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それから年月は過ぎる。



ずーっとAと二人で過ごしてきた。

二人でいろんなとこ行って、

たまにはちっせぇ喧嘩もした。


けど俺らは

親子として、


どんなときもそばにいた。





「……てつっ、ろ……っ、、うぅっ」


Aが初めて泣いて家に帰ってきたのは

小学校高学年の頃だった。


この頃には、

俺とAは本当に気を許していたと思う。




「優太くんがねっ、私に、ママとパパいないの変だって……っ、なんで、私にはママもパパもいないの……っ!?」



優太くん、とはAのクラスの子だ


Aが弱音を吐くことは珍しい

よっぽど辛かったんだろう




「……いないなんて言うな」

「……だって、」


「ぜってぇ、ママもパパもAの近くにいてくれてるよ、今もな」

「……っ、」



そう言った俺に、もう一度涙を流すA。

悔しそうで、切なそうな複雑な表情だった。


それはどこか、

悔しいときに我慢する、俺の兄ちゃんの表情と似ていた。




「……さみ、しいっ……!」

「A、」



今のAには、

何も言わないでやる方がいいのかもしれない。



俺は静かにAを

自分の腕の中で包んでやった。



「A、泣け。泣きたいだけ泣け。全部吐き出していいから、泣け」




俺がそう言うと

Aの堪えていた涙がさらに溢れ出した。



「ママと、パパに会いたい……っ」

「Aって、呼んでほしい……!」

「……一緒に、ご飯食べて、オムライス食べたい……」

「、ずっと、近くにいてほしい、よ……!」



Aは一つ一つ、

本音をこぼしていった。



その日は


今までで一番、

Aが弱音を吐いた日だった。

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妄想夢豚 - 待ってやばい泣きすぎたこんなに泣いたの【君の膵臓をた◯たい】の映画見て以来だ! (2018年8月16日 14時) (レス) id: cbad54000a (このIDを非表示/違反報告)
えーすらぶ(プロフ) - なんでだろ…何回読んでも涙腺が機能しない… (2017年8月5日 16時) (レス) id: 9061695b3b (このIDを非表示/違反報告)
星売り屋(プロフ) - 涙線がぁあ!感動しました!これからも頑張って下さい!くっこの小説の良さを伝えきれない自分に腹が立ちます! (2017年1月4日 10時) (レス) id: 219465c9fb (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯。(プロフ) - いい話だね涙がポロポロ出ちゃった。°(°`ω´ °)°。 (2017年1月4日 3時) (レス) id: 7a0b665db0 (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - 久しぶりに泣いた! ボロボロ涙が溢れて、涙が落ちるまで自分が泣いてるって気づけませんでした(笑) (2016年12月14日 21時) (レス) id: 77b715be7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こもちこんぶ | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2016年12月7日 17時

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