毒の華2【高尾和成】

華46 ページ6

貴「じゃあ、もっと教えてもらわなきゃね…」









そう言ったAの言葉にびっくりして、
振り返ると…









高尾「え？」









別人かと思った









教室にいるときの笑顔でも…

普段の無表情でもなく…









ただ心からの笑顔









ああ…
こいつってこういう風に笑うんだな




すげー優しい顔だ









俺だけがこの顔を見ていると思うと、
嬉しくて…


このまま時間が止まればいいのにと思った









貴「あ、えっと……私そろそろ帰る…」









我に返って、
Aはいつも通りの表情に戻る。









高尾「そっか、
俺はもう少し勉強してこうかなって思って」









そう言うと近づいてくるA









貴「数学？」


高尾「ああ…俺苦手で…
何やったらいいのか分からないんだよなー」









そういつものように
ケラケラと笑うと



ちらっとAは俺を見て、
またノートに視線を落とした。









貴「数学は、
授業ノートの他にもう一つノートを作るの…」

高尾「？」









貴「そっちには練習問題とか例題とか
テストに必要なものだけ書く。

自分が解いてて気がついたこととか、
コツとか…
この途中式に何をしたのかを書き込む」



高尾「なるほど」









貴「基礎さえ確実に理解していれば、
応用だって大丈夫だよ

まず教科書の問題を全部解いて、
どこが分からないかを
はっきりさせればいいんじゃない？」









すげー
こりゃ頭いいわけだな









でも流石に
今からそれやってたら間に合わねー









次からやるか…
そう思った時だった









Aが何かを鞄の中から取り出した

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