お昼。 ページ9
・
意識してしまえば気になるもので。ここ数日の間なんとなく五条さんを避けてしまっている。それに、この前のときの五条さんなんだか怖かったし。
理由は私の一方的な気まずさ。自覚してしまうと恥ずかしくていつも通りにお話できないのだ。
気になる人がいる、と勢いで言ってしまったけど。その対象人物が実は五条さんだなんて死んでも言いたくないし言えないし、きっと叶わない恋になる。
よく休憩時間に私のデスクに来る彼と、いつもはくだらない会話を続けるのだけど、何となく意識してしまってからうまくいかない。
話したいんだけどな、なんて思っていればタイミングよく、考えていた人物がトントンと私の机を叩いた。
「ねえ、お昼一緒に食べない?」
「あ、五条さん。えっと今日は補助監督の方と約束がありまして」
「あ、そう。じゃあ明日は?」
「明日は伊地知くんと、」
「明後日」
「………明後日になってみないとわかりません」
と、最近ずっとこの調子で彼から逃げてしまっているのだ。
どうしよう、と黙り込んでいれば はぁ と彼が軽くため息をついた。
「あのさぁ、僕のこと避けてるでしょ」
「…え、と」
図星だったのでおもわず言い淀んでしまって、目を泳がせていれば畳みかけるように五条さんが言葉を紡ぐ。
「この前の話だけど、お前が嫌ならもう聞かないよ」
「この前の話って、?
本当は何の話かわかっていたけれど、いつもは私に「君」という三人称を使うその人が今日は「お前」を使っていたから、少し余裕のなさそうな声色に動揺してしまったから
おもわず聞き返してしまった。
「気になる人のこと。」
当然のように予想していた答えが返ってきて少し言葉に詰まる。軽い間のあとでやっと言えたのは
「嫌では無いですけど、無理矢理言わせるのはやめてほしいです」
「…ん、分かった。で、誰なの」
「今日は言いません」
「ふうん、いつか言ってくれるわけ?」
「気が向いたら言います」
(あ、いつも通りだ。)
思わず口元に手を当てた。久々にいつもみたいに話せたことが嬉しくて頬が緩むのが自分でもわかる。
やっぱりこの人と話すのが好き。距離感も心地いい。
さっきは断ったけれど、
「ね、明後日は昼一緒に食べましょ」
今度は私からそう言えば、五条さんは嬉しそうに笑った。
274人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つじ(プロフ) - 朧さん» 初めまして、コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです泣 がんばります!! (2021年2月16日 7時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
朧 - (い、を入れてしまって申し訳ございませんでした。コメント送る時気を付けます。) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
朧 - あーーーー!めっちゃい”い”て”す”!主様かわええええ(コホォン)すみません!素直になれないという題名?をい見たときから『これオモロソウ!』と思い見てみました。いやぁ〜神作品ありがとうございます!!!!更新頑張ってください!(´∀`) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - みろんさん» 前作から応援してくださってるんですか!?嬉しすぎます泣 これから更新頑張ります! (2021年2月11日 15時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
つじ(プロフ) - さくらさん» わ"!!嬉しいです、ありがとうございます!更新頑張れます泣 (2021年2月11日 15時) (レス) id: 87b029d90b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つじ | 作成日時:2021年2月11日 8時