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それより、今、他の男と寝るくらいなら、って言われた気が、するような。
それはどういうことなんだろう。
「あの、私、太宰さんのお金を、使いたくなくて」
「…どうして?」
「なんていうか、その…私もよく分からないけど、」
と、気持ちを、できるだけ丁寧に話す。
ことは恥ずかしいので、なんとなくです。とだけ言葉を結んだ。
「そう…。私としては、なのだけどね。君が他の男と寝ることが、とても気に入らないのだよ。」
「何故、ですか?」
「こんなのは初めてだから、よくわからないのだけどね、多分、君のことが好きだから、」
心臓が、今までにないくらい働いているのがわかる。これ、聞こえてるんじゃないかってくらい大きな音を立てている。
周りの音が消えたように彼の言葉だけが耳に響く。聞いていて心地いいその声が、聞き間違いでなければ、私のことが好きだ、と言ったのだ。
なんて、名誉なことだろう。
言われてから気がついたけど、私のこの気持ちも、そういうことなんじゃないかな。
「あの、私も、よく分からないけど、太宰さんに触れると痺れるみたいな感じになるし、連絡待っちゃったり、離れたくないし、一緒に居る時間がすごく心地よくて、」
_これが、好きって気持ちなら、両思いですか?
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時