31 ページ32
「そうだね、ふふ、両想いだ。君の気持ちが知れて嬉しいよ。」
私が彼女を想うのと同じように、彼女も私のことを想ってくれていたことがとても嬉しかった。
その歓喜に乗せて、一番の願い事をしてみる。
「もう、他の男と寝るのはやめてくれないかい?」
「…は、い。でも、そうしたら私、生活費、」
「…確か、君は催淫の異能力者なのだよね?」
こくり、と首肯する彼女に話を持ちかける。
「私、実はね、ポートマフィアと呼ばれる組織に所属しているんだ。」
滅多な事では話さない自分のこと、相手が想い人であるだけにやけに緊張した。
「首領に話して、君も組織に所属するといい。私が話をつけてあげるよ、給金だってちゃんと出るし、悪い話ではないと思うのだよ。」
「でも、私なんかが、…足を引っ張ってしまいそうです…」
「適職はゆっくり探せばいいし、どうしても肌に合わないのなら私が養ってあげるよ。」
少し俯き気味だった彼女の顔がぱっ、と上がった。不安に揺れるその瞳を見つめ、彼女の言葉を待った。
「…、なんで、そこまで」
「さっきも言っただろう?好きだからだよ」
そう微笑んで、ふわりと彼女を抱きしめた。
417人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時