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風呂場で水温を聞いているとどうしても頭が冷静になってしまう。いつもこの時間、シャワー中は考え事をしているような気がする。
いつ異能を使おう。最初のキスの時でいいか。
触れていれば使えるし、問題はない。
あまり待たせても悪いし、そろそろ上がらなきゃ。綺麗なバスルームだし、もう少し堪能したかったけど、あとでゆっくり入ればいい。
ふぅ、と一息ついて、水の滴る体を持ち上げる。白くて綺麗なバスタオルでしっかり吹いて、引き出しにあったバスローブを着た。もともと着ていた服は綺麗に畳んでカバンに仕舞い、よし。と小声でつぶやく。
「すみません、お待たせしました〜。」
「おや、早かったね」
私が部屋に戻ると、男性はベットの淵に腰掛けていた。
「あ、あの、…ぅ、えと…」
なんて、これまた作為的に恥ずかしがりながら近くに寄って目を合わせる。隣に座って、すっ、と彼の手に触れる。
「…今夜は、よろしくお願いします」
その言葉と共に異能を使った。
…が、何故だろう。発動しない。
私の異能は、使うと相手の右手首にハートのような紋章が浮かぶのだ。
異能を使うことに失敗するなんて今までなかったんだけどな。と、もう一度試みる。
…どうして、どうして使えないの?
困る、本当に。私の異能は触れた相手を催婬することができるのだ。今までこの力のお陰で、男性のソレを少し触ればすぐに達させることが出来た。楽にお金を稼ぐことが出来た。異能が使えなくなるのは、困る。
「…君は異能力者だろう?」
「は、い、…どうして、」
「その"どうして"はどういう意味かな。最初に言っておいてあげよう。」
_私に異能は効かないよ。
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時