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私はホテルに来ていた。時刻は夜八時。
今夜は太宰さんとではない、別の人だ。
「みるくちゃん、シャワーどうする?」
「お先にいいですか〜?」
「うん、いいよ。もし良ければなんだけど一緒に、」
「…シャワーは一人で浴びまぁす。」
少し女性に慣れたような雰囲気を、意図してだそうとしているのがバレバレなその男は、少し残念そうに俯いた。
…お前みたいなブサイクに見せるわけないでしょ。
心の中で思いながらシャワールームに入った。
今日はツイッターを触った。たくさん来ているけれどずっと無視し続けている「今日会えますか?」のメッセージのひとつ、一番新しいものを開いた。
私はそれに、今夜八時から、宿泊でどうですか?と返した。
その人からの返事は早かった。三十分としないうちに通知が入った。
彼のお金を使わなくて済むことが少しうれしくて、彼以外の人とホテルに入ることが少し悲しかった。今まで何度もしてきたことなのに、やっぱりおかしいな。
バスローブの紐を締め、小さく息を吐いて、部屋に戻る。お先でした、と声をかけて、男がシャワールームに消えていくのを見送る。
ドアが閉まったあと、丸めて持ってきていた服を畳むことにした。明日も多分、着ることになるし。
と、今日履いていたショートパンツを手に取った時。ポケットに何か入っていることに気がついた。なんだろう、と思ってそれを取り出すと手紙だった。
紙を折っただけの簡易的な封、太宰さんからだった。なんだろう、とやけに緊張しながらその封を開けた。
そして読もうとした時、かちゃ、とノブが回る音がして、男がシャワールームから出てきた。
既にモノを立たせているのがバスタオル越しでもわかる。きもちわるい、と久しぶりに感じた。
私はさっさと終わらせよう、とその男に歩み寄った。今までにない程早く異能を発動させた。
狂うほど絶頂して気絶してしまえ、とやけにイラついた気持ちだった。
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作者名:こめこ | 作成日時:2018年4月28日 22時