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一方、探偵社社員寮。

銀は鍋に向かっていた。
鍋からは食欲のそそられるいい匂いが出て、部屋の中にその匂いは充満していた。
匂いは、時間までも遅らせ、幸せな時間を演出する。
しかし、幸せな匂いに包まれているのに、芥川の顔は不機嫌だった。

「遅いな……」
芥川の小さく発したコトバは、銀の耳には届いていた。

「敦さん、もうすぐ来るそうですよ」
銀は鍋の中身を味見し、美味しい。と微笑んだ。

「そうか……」
芥川の目は部屋の外を見ていた。
倉庫の路地の一つ一つに走る人影を捉えようとしていた。

「…………」
話すことがなく、二人とも無言になりつつあった。

今、二人が求めているのは、兄妹の持たない優しさを持つ人だった。

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設定タグ:空白時 , 中島敦,芥川龍之介 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:空白時 | 作成日時:2021年11月26日 14時

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