ＰＲＥＣＩＯＵＳ ＫＺ 〜 一時の安寧を貴方に 〜

期末前の日常風景　６ ページ21

*


「まってよ、ホント…じゃあ、１０分！
　そこで覚えるから！」



「わかった。
　じゃあその時間に、上杉くんと漢字の確認しようか」





　やった。

　矛先が上杉に向いた。ラッキー。





「ゲ。
　…いや、それ、小塚も一緒の方がよくね？」



「そういえばそうだね」



「あ、あの…ぼく、国語より英語の方を覚えたいな。
　…ほら、ちょっと前にアーヤの作ってもらった文章問題、僕は全問正解だったけど、上杉は半分以上間違えてたよね」



「小塚、ずりぃぞ」





　で、でも事実だし…。





「うーん、それじゃあ上杉くんに文章問題をやってもらって、小塚くんに英語を覚えてもらおうか」





　それ、賛成！





「いや、いいって。
　俺、小塚の英語に協力する。
　それか、小塚と国語やる」



「何でそんなに僕と一緒ってことを強調するの？」





　…なんて、訊かなくても本当はわかってる。

　怖いんだよね、教師モードのアーヤって。

　その予想通り、アーヤは冷静な視線で上杉に言った。





「上杉くん。
　それ、よくないよ。
　前回勉強した時ってたしか、『本文中の言葉を用いて』の意味が分かってなかったよね」



「わかってるよ、わかんないわけねーし」



「わかってたら間違えない。
　意味を訊かれて、肝心な言葉を書いてなかったら間違いになるのは当然だよ」



「だいたい通じてただろ」



「だいたいじゃダメだってわかってないの？」





　ああ、よかった。

　二人の会話に出てきたその問題、僕偶然解けたから。

　今のうちに少しでも英語を覚えておこう。






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