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「…は?」
若武の視線も俺に向けられる。
「その時、もしかして…アーヤと手、繋いだ?」
「……」
何も答えない俺に、若武はバンっとテーブルを叩いた。
「上杉!
てめぇ一人で抜け駆けしたのか?」
「は?
自分勝手にKZ抜けてたおまえが文句言ってんじゃねーよ。
第一あれは調査だったんだぜ」
「調査で手繋いだのかよ!」
「故意にやったわけじゃねーよっ」
「二人とも静かに」
「「!」」
店内中の視線が俺たちに集まっていて、焦って頭を下げる。
こんなに騒いでたら営業妨害以外のなにものでもねぇ。くそ。この店美味かったのに、利用しづらくなるじゃねーか。
「上杉、落ち着いた?」
今のこの状況でそう見えるのかよ、黒木。
言い返してやりてーとこだが、俺以上に眼をギラギラと睨んでる視線を感じたおかげで、逆に少し冷静になれた。
ふーっと息を吐き、なるべく小さな声で言う。
「……黒木。
おまえも知ってるだろ。
あの時あの場所に調査に行くように俺と立花を指名したのは美門だ。
俺から言い出したことじゃねー」
「もちろんわかってるよ」
……わかってるくせに言わせたのかよ。
こいつ、本当に曲者だよな。
「だったら何で手なんか繋いだんだよ」
「そんなの言わなくてもわかるだろ」
「わかんねーから訊いてんだよ」
若武も若干声を抑え気味で、仕方なく答えてやる。
「立花は怖がりなくせに頑固なんだ。
手引くくらいしないと、目的地にも着けなかった。
だからやった。
それだけだ」
あの時はそれが最善だと思ったからした。下心とかなかったし、それが伝説に引っかかるなんて思いもしなかった。当たり前だ。
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こま(プロフ) - ゆらち*さん» ありがとうございます〜(#^.^#) 上杉君、いいキャラですよね♪ あのツンのところを黒木君や翼に弄られてるところをつい見たくなってしまいます。今後も頑張ります!(^^)! (2016年5月15日 0時) (レス) id: 90c1ef24f9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらち*(プロフ) - とても素敵な作品です!分かりやすくて、読みやすいです!!私も見習わないと...。 上杉君、最高なキャラだと思います!翼と黒木君のコンビもいいですよね〜 応援してます!! (2016年5月14日 21時) (レス) id: 2c3f42c40a (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 未来さん» どうもありがとうございます(^^) 想像していただけたら嬉しいなって思ってました。上杉君がこの二人にからかわれるの、好きなんですよ。実はこれで二回目で、三回目のお話を今書いてます(#^.^#) 飽きずに見てやってくださいm(__)m (2016年2月27日 19時) (レス) id: 90c1ef24f9 (このIDを非表示/違反報告)
未来 - 素敵なお話でした!美門や黒木にからかわれつつも、感謝する上杉・・・という図がありありと想像できますね(笑) (2016年2月27日 13時) (レス) id: 7c7a6c65ca (このIDを非表示/違反報告)
こま(プロフ) - 柚子さん» 感想ありがとうございます。上杉君はなんとなく書きやすいです。一応プロットには、小塚君SIDEのお話があります(#^.^#) 他に書けるとしたら、やはり砂原かなぁ。また挑戦してみますね!(^^)! (2016年1月16日 15時) (レス) id: 90c1ef24f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こま | 作成日時:2016年1月9日 21時