どこにでもある日常の風景 〜上杉編〜

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　俺たちくらいの頃の一年って結構デカい。

　KZの練習後、黒木と若武と飯食って行こうってことになった。

　小学校の頃は形ばかりの弁当を無理やり持たされてたけど、中学に上がってからは金だけ渡されるようになった。こういうのってかなり気が楽だ。

　向こう(親側)も体裁を気にしなくて済むし、俺としても好きなものを好きなように食べられる方がいい。時折あったコンビニ弁当の移し替えとか、周囲にバレそうでスゲー嫌だった。あんなのなら、最初からパンだけ持っていった方がずっとマシだ。

　男三人で飯ともなれば、飾った店よりまともな店の方がいい。ついでにバランスも考えるなら、ファミレスよりチェーン店の定食屋を選ぶのはよくあることだ。

　そういえば小学生の頃は、せいぜいファミレスかファーストフードだったな。小学生だけでも平気で入れる気楽さが助かった。





「俺鶏もも一枚揚げにする！」





　看板メニューになってるらしいそのメニューの食券を購入しようとした若武に、思わず眉間の皺が寄る。





「おまえ、にんにく食うのかよ」



「ぽん酢って苦手だからな」



「この後秀明だぜ。
　授業中絶対口開くなよ」



「は？
　そんなの無理に決まってっだろ」



「だったら食うな」





　俺たちのやりとりに、黒木が苦笑しつつ口を挟んだ。





「大丈夫じゃないかな。
　ここのにんにくのタレ、そんなに臭わなかったよ。
　前にラーメン屋で若武がおろしにんにくを入れた時より全然マシなはずだ」



「あれは確かに失敗したと思ったし反省した。
　だから次は少し減らす」



「入れないって選択はねーのか」



「ない」





　ダメだ。こいつは失敗から何も学んでねー。





「とりあえず若武のために、食後はコンビニによってガムを買おうか。
　ところで上杉は何にする？」





　答えないまま、いつものダブル野菜定食を選ぶ。

　追加でミニ唐揚げと小鉢卵。

　飯が好きなだけ食べられるメニュー。今夜は夕食もいらねーだろうな。

　黒木はエビフライとチキン南蛮がセットになってる定食と、大盛りポテトの食券を購入した。





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