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窓から入ってくる風はやけに冷たくて、自分がページをめくる音だけしかない。
体育館から聞こえる靴の摩擦音と、運動場から聞こえるボールを蹴る音。
どれもかもが小音量で聞こえる。
夏休み明け、初回の図書当番。
久しぶりの感覚に手がかかる。
【本日の図書当番】と書かれたカードには、私と彼の名前。
でもカウンターの隣に、影山くんはいない。
また部活に行ってしまったのか、それとも……。
昼見た影山くんの冷たい顔に、私の細胞が反応している。
花火大会の日から、影山くんは私を避けるようになった。
ほぼ毎日来ていたメールもなし、大好きだった屋上にも来ない。
終いには自分の仕事も放棄するようになった。
私が影山くんに何かしたのなら、全力で謝りたい。
でも彼がちっぽけな理由で怒るとは思えない。
矛盾した気持ちを持ってしまう私は、もう手遅れなのだろうか。
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ハルジオン(プロフ) - 太宰亜里沙さん» コメントありがとうごさいます。楽しんでいただけてなによりです! (2020年7月14日 17時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - コメント失礼します!凄く面白くて一気読みしちゃいました!静かな夏の描写や素敵な影山をみれてとても読んでいて楽しかったです! (2020年7月14日 12時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
ハルジオン(プロフ) - はるはるさん» コメントありがとうございます。夏の描写はかなり気を使っていたので、そのように言っていただけて光栄です! (2020年7月11日 13時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - 影山くんと主人公の不思議な関係、対して、鮮明な夏の描写。素敵な文章に幾度も胸をきゅっと締め付けられるようでした。最後の文章で、一気に世界が色づくような錯覚を覚え、思わず泣きたくなるような気持ちになりました…! (2020年7月11日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルジオン | 作成日時:2020年6月21日 13時