松野家の隣人ちゃん2 (ページ24)

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*トド松

「なーんでそこくっついちゃうかな」

「はは」

「はは､じゃないよ」

「ごめんね､君のお姫さま取っちゃって」

「べつに姫って感じじゃないけど」

「トド松くんは素直じゃないなぁ」

学校帰りにたまたまあつしくんに会い
そのまま何故か近くのファミレスに寄った｡
お腹そんなに空いてないからドリンクバー｡

メロンソーダの入ったグラスに
ピンク色のストローをさして
ぢゅーっと一気に吸い込んだ｡

喉に強烈なしゅわしゅわアタック｡
むせそうになるのを必死に抑えた｡

「僕めちゃめちゃ素直だけど?」

「ふふ」

「あーもうこれだからあつしくんは」

「なに?」

「あのAちゃんだって…」

その先は言いたくなくてまた緑を飲み込む｡
瞳に涙が滲むのは強烈な炭酸のせいだ｡

「まぁ､たぶんだけどね」

「え?」

「彼女､僕のこと好きじゃないよ」

「えっ」

「そんな嬉しそうな顔しないでくれよ」

「してないしてない！わー残念だなぁ」

「少しも隠せてないよ､ふふ」

彼は整った顔で残念そうに微笑む｡

少しは隠そうとしなよって言われても
これでもバンザイ堪えてるんだから｡

「何で分かるの?」

「見れば分かるよ､無理してる感じ」

「ふぅん」

「好きなのは僕だけなんだ」

「…」

「ほんと､ずるいよね」

彼のアイスコーヒーの氷が融けて
カランッと気持ちいい音をたてた｡

ストローのさしていないグラスを
一気に傾けた彼は薄茶色の液体を
喉仏を大胆に上下させて飲み干す｡

「あつしくん甘いの好きだよね」

「あの子の前ではカッコつけて
　ブラック飲んでたんだけどね」

「うわあつしくんカッコわる」

「ちょっとカッコつけたくなるじゃん」

「まぁ分からなくもないけどさ」

丁度空になったグラスを持って立ちあがり､
ついでにあつしくんのグラスも持った｡

「何かいれてきてあげるけど」

「ありがとう､おまかせで」

「はーい」

ドリンクコーナーまで行く途中
女子高生の女の子たちが彼を見て
かっこいいと口々に言うのが聞こえる｡

「……ちっ」

あんなにも彼女候補がいるってのに
何でよりによってAちゃんなんだよ｡
しかも何で付き合っちゃうんだよ｡悔しい｡

そりゃあつしくんはスパダリだけど｡

「あ～もやもやする」

このもやもやした気持ちを晴らすべく
あつしくんのグラスにコーラと烏龍茶を
半々ぐらいに入れてストローで混ぜた｡

おまかせって言った彼が悪い｡

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