松野家の隣人ちゃん2 (ページ18)

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64.彼氏くんor松野さんページ18

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「好きなんだ､君が」

『へ?』

「僕と付き合ってくれないか」

ちゅるん､すすった麺から汁が飛ぶ｡

もぐもぐ醤油ラーメンを咀嚼する私は
数秒経つまで彼…あつしくんの言った
ことが理解できなかった｡

いやだってラーメン食べてたんだもん｡

『あつしくん､ひとつ言うね』

「うん」

『今なの?』

「抑えきれなくなったんだ」

『ラーメン食べてただけなのに？！』

前に約束したラーメン屋に来てた私たち｡

カウンター席座って醤油と味噌頼んで
おまけされたチャーシューに喜んで
他愛のない会話しながら麺をすする｡

勿論告白するムードなんて0｡

「告白なんて初めてなんだ」

『でも今はないよ寧ろすごいよ』

「ありがとう」

もしするなら帰り際に手ぇ引いてとか
彼がするのはそんな感じかと思ってた｡

まさかラーメン食べてる時とは｡
いやまず告白されたこと自体驚きだ｡

『と､取り合えずラーメン食べよう…?』

「じゃあ帰りにもう1回言うね」

『え"っ』

「君になら何度だって言うよ」

そんなこと言われたらそれしか
考えられなくなるじゃんちょっと｡

まぁこれ食べたら帰るんだけど｡

『私なんかのどこが…』

「面白い子って思ってたよ最初は」

『ギャグ要員ですか』

「うん､でも話してたら楽しくて」

『ギャグ要員ですから』

少しむむっとしながら麺をすすると
そんな怒らないで､とくすくす笑われた｡

その笑顔はとっても好きだったりする｡

「いやぁ､美味しかったね」

『うん！ここは本当オススメで…』

「また来よう､ふたりで」

『……うん』

美味しいラーメンを食べ終えた私たちは
外灯の照らす少し暗い道を歩いていた｡
まだ4月だから暗くなるのがはやい｡

あつしくんが危ないから送るよって
言ってくれたので遠慮なく甘えてます｡
おばけとか出たら怖いからありがたい｡

「ねぇ､Aちゃん」

『う……ちょっ､ちょっと待って』

やっぱし､こういう雰囲気は苦手だ｡

「待てないし待たないよ」

『ほ､本気…なの?』

「そりゃもう」

離れてた距離を埋めるためなのか
あつしくんの少しひんやりした手が
私の手の甲に触れ､直後軽く握られる｡

告白なんてされたことないもん｡

この歳で彼氏いないとかアウト…?
彼を断って他に私を選んでくれる人は
誰かいるのだろうか｡いない気がする｡

それなら､もういっそのこと＿＿＿＿

『よろしく…お願い､します』

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