松野家の隣人ちゃん2 (ページ16)

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『……こんにちは』

「こんにちは」

あれから数日後､この間の図書館にて｡

あのあと連絡先捨てるわけにもいかず
お礼はちゃんと言うべきかな…と思い
ありがとうございましたとメールした｡

そしたら間もなく返信がきて

また会えないかな､って｡

どういうことなんだろう詐欺なのか｡
はたまた私をからかってるのか｡

まぁた断れず来ちゃう私も私だけど｡

『はやい､ですね』

「学校がはやく終わってね」

ふかふかの椅子に腰掛けるあつしさんは
オーラそのものがまず私と違っていて
やっぱり別世界のひとみたいな感じ｡

トド松に聞いたところいい人らしいから
そんなに深く疑うことはないと思うけど
私にこんな素敵なひとはおかしい｡

「メールありがとう」

『こちらこそ』

「何か飲む?」

『そ､そんな…2度も……悪いです』

「遠慮しないで」

微笑んだあつしさんは自販機の前に立ち
小銭を投入すると､また珈琲を選んだ｡
がこんと音を立てて落ちたそれを拾う｡

「オランジーナでいいかな」

『…あ､ありがとうございます』

「遠慮しないでって」

続けて小銭を投入しオランジーナの
ボタンを細い人差し指で押すあつしさん｡

折角買って戴いたんだからここは
もらわなきゃ逆に申し訳ないよね｡

「はい」

『い､いただきます』

「ふふ､いいんだよ敬語なんか使わなくて」

『でも､あつしさん歳上じゃ』

「タメだけど」

『え』

同い年､と私と自身を交互に指差す｡
こんなにイケメンで大人な彼が
まさか私と同い年だというのか｡

「そんなに老けて見える?ショックだな」

『いや……おとなってこと､です』

「だから敬語しなくていいって」

『大人ってこと…だよ』

「うん」

あつしさんと私が同い年ってことは
あつしさんとじゅっしも同い年か…｡
世界は広いね｡十人十色だね｡

「少し話そうよ」

『え』

「その為に呼んだんだから」

軽くパニックになってる私の手を引いて
あつしさんは私を椅子に座らせた｡
安定のふかふかで身体が沈み込む｡

『でも､私話すのそんなに得意じゃ…』

「いいよ｡真面目な話じゃなくても」

『いや…でも､ほんとに』

「赤塚高校近くのラーメン屋って」

『あ､あそこすっごい美味しくて！！！
　木曜は夕方5時からチャーシューおまけ…』

と言ったところで黙った｡

何やってんだ私男子高校生かよ｡
胃袋男子かよ｡そうだよ男子だよ｡

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