松野家の隣人ちゃん2 (ページ11)

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ぴんぽーん

うちのインターホンが鳴った｡

モニターを見れば三男が眉間に皺寄せて
四男は大きな欠伸しながらカメラ見てる｡

『うそ…はやい､おかしい』

いつもは寝てる時間なのに…！

多分寝てるから遅めに迎えに行こうと
ずっと思ってた私を殴ってください…｡

『あ､ち､チョロま』

「準備できてないならゆっくりでいいよ」

通話ボタンを押して謝ろうとすれば
優しいチョロちゃんがいらいら顔で言った｡

『いや､大丈夫！できてるから！行くね！』

そう叫んで足元に倒れてた鞄とって
朝から騒がしくばたばた廊下走って
玄関でローファー履いてドアを開ける｡

『おはようチョロちゃん､イッチ』

「おはよう」

「…はよ」

いつも朝はカラさんとだから新鮮｡

今年も安定の風紀委員をやるらしい
チョロちゃんは制服をぴしっと着てて

委員会なんてゴミには向いてませんな
イッチはネクタイゆるゆるズボンだるだる｡

『イッチ制服ちゃんと着なよ』

「べつに…」

『チョロちゃんはしっかりしてるね』

「まぁ､コイツとは違うから」

『はいはい』

イッチの乱れた襟を歩きながら正す｡
ありがと…と彼はぼさぼさ頭をかき
またひとつ大きな欠伸を漏らした｡
全ッ然感謝してませんねけしからん｡

「ほらA行くよ」

『わわ､チョロちゃ』

チョロちゃんにぐいと手を引かれ､
何度かつんのめりそうになりながら
歩幅を大きくして歩くペースも上げた｡

イッチとの距離がひらく｡

『い…イッチおいてっちゃう』

「いいよべつに」

『よくないからね？！』

緑と紫は仲いいのか悪いのか｡

のそのそ歩いてる猫背の手を掴んで
一気に引っ張るとさっきの私みたいに
すっ転びそうになりながらこっち来た｡

『ほら！イッチもしゃきしゃき歩くよ』

「ぜぇ……ゴミには無理…」

『体力なっ！！！』

白目むいて息切らしてる四男の手を
さっきよりしっかり握って引っ張ってく｡
こんなとこで力尽きられたら困るし｡

ってかイッチ手ぇ柔らかい｡ふにふに｡
お腹もふにふにしてるんでしょ知ってる｡
実は気にしてるのも知ってたりする｡

『ねぇチョロちゃん間に合うかな…』

「まぁこのペースで行けば余裕」

『よかった～…』

まぁ間に合えばいい｡間に合えば｡
チョロちゃんいなくてイッチのペースに
合わせてたら遅刻してたと思う｡恐らく｡

さすが優等生くんは違いますね｡

「あ……A」

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