松野家の隣人ちゃん2 (ページ2)

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教室入れば､松野じゃん！とお決まりで
みんなにからかわれる6つ子たち｡
おそ松は楽しそうに友達と肩組んでる｡

『随分と楽しそうなことで』

「ハニー席に座ろうか」

『そだね』

座席表を見ると次男の隣ということが判明｡

長男みたく毎日忘れ物なんてことはないし
授業はわりと普通に受けてるし､まぁいいか｡

『また1年よろしくね～カラ松』

「フッ､まさにデスティニー…運命だな」

『そうかもね』

安定のイタい発言は適当にスルーして
鞄のなかの用具を机のなかにしまう｡

この1年で少しはまともに戻るかな…｡
個性があるってことはいいことなんだけど｡

『きょうも部活あるの?』

「ん?あぁ､あるぞ」

『劇の練習順調に進んでる?」

文化祭でやる劇の主役に選ばれた彼｡

いい声だし優しいし演技が上手なのかは
素人の私には分かんないけどカラ松が
頑張ってたところは隣で見てたから｡
素直に嬉しいし心から応援してる｡

「もちろんさぁ､見に来るか?」

『え､行っていいの?』

「ハニーは特別だ」

『普通はだめなんじゃん』

「部長の俺がいいと言ってるんだ」

来てくれ､といかした顔に書いてある｡
他の部員に嫌な顔されないかなぁ…｡
うーん…部長がなんとかしてくれるか｡

『じゃあ部活見に行くね』

「本当か！」

べつに差し入れする訳じゃないのに
どうしてそんなに嬉しそうなのか不思議｡

カラ松は私の手をとって上下に振る｡

「きょうは一緒に帰れるんだな」

『え…?あぁ､うん』

正直､下校時間までいるつもりじゃ
なかったんだけどそんなふにゃふにゃな
笑顔見せられては断れないよね…｡

「ハニーと帰るのは久々だなぁ」

『確かにそうだね』

「あぁ､嬉しい」

『はいはい』

どうしてそんな素で口説いてくるかなぁ…｡
他の女子にもやってたりすんのかなこれ｡
演劇部なら許されるんだろうか｡

「ハニーは嬉しくないのか…?」

目をうるうるさせて今にも泣きそうな顔で
振ってた私の両手をきゅぅっと強く握る｡

『えっ！いや､う､嬉しいよ！？』

「そうか…よかった」

『もうちょっと止めてよね』

「ハニーはかわいいな」

トド松と同じで涙の出し入れ自由自在｡
これも演劇続けてきた成果なんだろう｡
その涙に焦っちゃう私もまだまだだ｡

「A､課題だして」

『あっチョロちゃん』

「学校ではそれで呼ぶなって…」

「…」

次男の視線が鋭くなったことに
私はまだ気付いていない｡

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