【◇】Ace of Diamond

御幸一也 ページ6

*


朝早くにインターホンの音｡

お母さんにA出て〜､と言われ
渋々印鑑片手にがちゃりとドアを開け



「よっ」

『チェンジで』



がちゃんと閉めた｡
外から何で!!?という声が｡



『一也なに?』

「俺ん家来ない?」

『何でよ』

「寿司余っちゃった」

『ゆっくり120秒数えてて』



一也の返事も聞かず階段をダッシュ｡
自室に飛び込む様に入り手早く着替えた｡
お寿司には敵いません｡SUSHI最高｡



『お母さんちょっと出てくるー！』

「夕飯までには帰りなさいね」

『はーい！』



玄関の鏡の前で一応チェックして
がちゃ､とさっき閉めたドアを開けた｡
そこにはやっぱり一也が立ってる｡



「119秒､お前体内時計あんの?」

『それはもう精密な』

「腹時計か」

『お止めなさい』



一也の家まで並んで歩いて
久々にあの階段を上がってく｡

御幸スチールにお父さまいたし｡
家ではきっとひとりなんだろう｡



『お邪魔しまーす』

「はいどーぞ」



そこ座ってと言われた通り椅子に腰掛ける｡
一也がお寿司とコップをふたつ持ってきた｡
テーブルに置かれたオランジーナ｡



『オランジーナじゃん』

「ビールしかなくて買ってきた」

『最初から私を呼ぶつもりだったの』

「流石Aちゃん冴えてる」



コップになみなみに注がれた炭酸が
ぱちぱち弾けるのを何気無く見て

ふと視線を上げると一也が私を見てた｡



「で､考えてくれた?」

『んん?』



「決勝勝ったら付き合ってって」



この間直接言ったじゃん､と｡

一也が真剣な目で見てくるので
目を合わせづらい雰囲気になった｡



『わ､私なんかでよければ』

「ん…ありがと､うれし」



私も昔から一也が好きだったし嬉しい｡
どもりながらも返事をして一也を
ちらりと見ると幸せそうに微笑んでる｡



『なんか変な感じする』

「ほんとにな」

『お寿司食べていい?』

「食い意地張ってんね」

『もうこの際なんでもいい』



朝もガッツリいけるくちなので
空きっ腹にお寿司を入れてく｡



『おいしい！』

「よかったな」

『うん』



私を見詰める彼の視線が愛おしいものを
見詰める視線で少し恥ずかしかったり｡
ほら､この人イケメンですから｡



『一也乾杯しよ』

「なんかすげー今更感」

『いいのいいの､おめでと！』

「ありがと」



かちゃん！とオランジーナで乾杯｡


キャプテンも四番も捕手もお疲れさま｡
ちゃんと君に寄り添える私でいるからね｡


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倉持洋一→←金丸信二

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