【◇】Ace of Diamond

金丸信二 ページ5

*



『信二おめでとだいすきー！』

「えっうわっ､Aかよ」

『反応薄い！おめでとうってば』

「おうおう､ありがとよ」

『えへへ』



おつかいの帰り道､信二の姿を発見｡

知らないひとの可能性もあるけど
一か八かで背中に飛び付いてみた｡
当たってて心の底から安心してる｡



『かっこよかった！』

「あざす」

『お疲れさま』



然り気無く私のエコバックを持って
くれた彼に信二イケメン！と言うと
外で言うなと軽くチョップされた｡



「ん､お前今日このあと暇?」

『暇だけどどっか行く?』

「マック行こうぜマック」

『いいよ』



疲れてるんじゃないのかな､と思うも
本人が望むならいいかと言い聞かせた｡

一度家に戻って母親に荷物を渡し
信二と並んでマックへと歩き出す｡



『なんか久し振り』

「嬉しそうだなお前は」

『そりゃ信二だいすきですから』

「よくそんなサラリと…」

『でもほんとだよ?』

「嘘には見えねぇな」

『でしょ』



秀明も好きだけどこの好きとは違う｡

私の特別はずっと昔から信二で｡
なんでって訊かれても信二で｡



『信二は私のこと好きじゃないの?』

「嫌いだったら誘わねぇよ」

『だよね』



でもその好きはお友達の好きなんでしょ｡
秀明とかチームメイトとかと同じやつ｡
嬉しくない訳じゃないけどちょっと悲しい｡



『…』

「急に黙るなよ怖ぇから」

『あ､ごめん』

「あ､腹減ってない?」

『いやもう鳴りそう』

「ならよし」



にしし､と笑いあってマックに入った｡
信二は相変わらずチーズバーガーでしょ｡
だから頭チーズ色なんでしょ｡



「お前どうする?」

『信二と同じの』

「おっけ､席よろしく」

『了解』



見付けた端の席の片方に座り
しばらく待ってると信二が来た｡



「お待たせ」

『わーい！あ､お金いくら…?』

「いいよ奢るから」

『え､やった』



向かいの席に腰掛ける彼｡

お互いもそもそチーズバーガーを頬張る｡
食べるのに夢中なのか何も話さない｡



「なぁ」

『ん?』



「俺らさ､付き合わねぇ?」


『あっ､はい』



まだ理解できてないけど返事しとく｡
付き合う?え､付き合うって何ですか｡



「あっさり承諾したな」

『ん?あれ､ほんとに?』

「いや何でお前泣きそう」

『目からシェイクが』

「俺ハンカチ持ってねーよ」

『信二不潔…』

「おいこら」




今になって溢れてくる涙｡
言うのが遅いタイミング悪い｡

でも嬉しいからよしとしましょうか｡


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