【◇】Ace of Diamond

東条秀明 ページ4

*


『お邪魔します』

「どうぞ」

『秀明おめでと！はい紅生姜』

「わ､ありがとう」



秀明に紅生姜を手渡す｡

秀明の甲子園出場祝いに東条家へ｡
隣の家だからベランダ移動も可能｡
流石に止められちゃったけどね｡



「あがって」

『うん』



幼馴染みの彼に手を引かれて
階段を上がってくとアイドルに
溢れた秀明の部屋が現れた｡

綺麗な部屋なんだけどね｡



「適当に座って､飲み物持ってくる」

『お構い無く』



秀明が部屋から出たのをいいことに
そろーりと引き出しを開けてみたり｡
ほとんどモモクログッズだったけど｡



『…これ』



ふと1番下の段の引き出しのなかに
白い封筒があるのを見付け取り出す｡

開けた跡がないので秀明が書いたものらしい｡



『うわ…懸想文だ』



いや､ファンレターかも｡

秀明に好きな子なんていないよね｡
モモクロに一途だよね｡そうでしょ｡
開けてみたいけど流石にそれは…｡



「なに見てるの?」

『ひゃっ！』

「あれ､そういう趣味あったっけ」



肩をぽんと叩かれ身体が跳ねた｡
私の手から手紙を奪って笑う彼｡

お菓子持ってくるの速くないですか｡



『秀明怒った…?』

「怒らないよAには」

『信二だったら怒ってる?』

「信二はこれの内容知ってるし」



ひらひら手紙を振ってまた笑う｡
え､内容がものすごく気になる｡



『ラブレターなの?』

「そうだよ」

『だ…誰に…?』

「そんな顔しないでよ」



不安で滲んできた涙を秀明は服の袖で拭い
そんな泣かないで､と頭を撫でてくれた｡

そういう優しいとこずるい｡



『私､秀明が好きだもん…』

「そんなの知ってるよ」

『知らないふりしといてよ…』


「だって俺も好きだし」


『え』



秀明の発した言葉に涙が止まった｡

やがて意味を理解した脳が涙腺を
ここぞとばかりに崩壊させた為
涙がまたぼろぼろと溢れてくる｡



『私もすきぃ…』

「何でそう君は泣くかなぁ」

『秀明のばか…』

「分かった分かった､ごめんって」



ぐずる私の頭を撫でハンカチを渡し
林檎ジュースを渡してくれるあたり
秀明の方が女子力高い感じに見える｡



「あとで言おうと思ってたのに」

『もっと早く言ってください…』

「やっぱり勝ったあとがいいかなって」



ごくごく林檎ジュースを飲み干すと
まだあるよ､とコップに注いでくれた｡

彼は私の顔を見て小さく吹き出す｡



『な､なんで笑うの…?』

「ううん､素直でかわいいなーって」


.

金丸信二→←小湊春市

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