【◇】Ace of Diamond

小湊春市 ページ3

*


「Aちゃん､春市来たよ」

『行って参ります！』

「ほんと元気だね」



亮ちゃんに言われ､玄関へ駆けてく｡

聞こえる来る足音に緊張しながら
目の前のドアが開くのを待った｡



『春ちゃんおめでとー！』

「わっ､びっくりしたじゃん…」

『おかえりなさい！』



そして春ちゃんが登場した瞬間
クラッカーをぱぁん！と鳴らして
幼馴染みの春ちゃんに抱きついた｡

もちろん受け止めてくれる｡



「ありがとう､でも危ないからね」

『春ちゃんなら大丈夫』

「そりゃ受け止めるけど…」



神奈川に帰ってきた春ちゃん亮ちゃん｡

ご両親から連絡をもらってお家へ行き
弟より一足先に帰ってきた亮ちゃんに
同じことをしたら相変わらずと笑われた｡



「よかったね春市､かわいいお出迎え」

「ふふん､いいでしょ兄貴」

「いや同じことされてるから」



その後小湊一家と美味しいご飯を食べ
暗くなってしまったので結局お泊まり｡

亮ちゃんがお風呂行ってる間
春ちゃんと部屋でふたりきり｡



『ごめんね疲れてるのに』

「いいよいいよ､僕も嬉しいし」

『ほんと光速で寝るから』

「眠れなかったら話していいよ」



二段ベッドの上の段に並んで座る｡
春ちゃんは相変わらず優しいひと｡
向こうでもかわいい女子に囲まれて…｡



『向こうで彼女とかできたの』

「やきもち妬いてるの?」

『へっ!!?』

「Aちゃんは顔に出るから」

『…よく言われます』



前髪で見えないと思ってたのに｡

表情豊かでいいよね､と彼は笑う｡
そんな笑顔に熱くなってく顔｡



「ふふ､彼女はいないよ」

『そうなんだ』

「好きな子はいるけど」

『東京の女の子かわいいもんね』



もう妬いてるとばれてるんなら
とことん表情に出してもいいやと
ぷくーっと頬を膨らませてみた｡



「Aちゃん鈍い」

『味覚はかなり特上…』

「そうじゃなくて」

『え』



頬を突かれ空気が抜けた｡

ほんのり赤く染まった彼の頬が
きゅっと私の手を握るものだから
ほんの少しだけ期待を抱いてしまう｡



「Aちゃんだから､好きなのは」



『私､も､すき…です』

「何でそんな片言なの」



春ちゃんの笑顔につられて頬が緩む｡
うっすら滲んだ涙をごしごし拭いて
だいすき！ともう一度彼の胸へ｡



「さっきの出迎えも嬉しかった」

『それはよかった』

「けど兄貴にはやらないでね」



お互い幸せでいっぱいな為


亮ちゃんが扉前にいることには気付いてない｡


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