【◇】Ace of Diamond

小湊亮介 ページ15

*


『グローブあげちゃったの?』

「なに欲しかった?」

『うん』

「お前野球しないだろ」

『だけど…』



亮介の家にてごろごろする｡

怪談本をぱらぱらめくってた彼は
立ち上がって私の頭を撫でてくれる｡
そりゃあもう愛猫のようにやさしーく｡



「ほか､何か欲しいものないの?」

『…髪の毛』

「きもい却下」



やばい今のはドン引かれた気がする｡
確かに髪の毛はアウトだよねアウト｡



「ないならいいけど」

『そんなすぐに出てこないし』

「あと10秒」

『亮介欲しい』

「何言ってんのお前」



わりとマジなトーンで返された｡

ちらっと様子を伺えば頬の辺りが
ほんのり赤くなってる｡照れてる｡



『亮介照れてる』

「照れてないし勘違いすんな」

『勘違いしちゃう』

「取り敢えず落ち着け」

『ハイ』



ねえねえ亮介｡隠しても無駄なんだよ｡
頬はほんのりでも耳はがっつり赤いから｡
素直じゃなくて本当かわいいよね｡

でも言ったら殺られるよね｡



『亮介は何か欲しいものないの?』

「この本の新刊」

『買ってこようか?』

「表紙怖いけどいいの?」

『やめときます』



彼の読んでる本は基本的にホラー｡
今読んでるのだって表紙こわいし｡
色白の若い女の人こっち見てるし｡



「あ〜､で俺が欲しいんだっけ?」

『欲しい』

「素直だねA」

『かわいいでしょ』

「はいはい」



さらりと流された｡

わしゃっと私を撫でると机から
何故か鋏を取り出す亮介くん｡
一思いにぐさりっすか｡怖いっす｡



「お前に髪切らしてあげる」

『んんん?』

「そろそろ切ろうと思ってて」

『私に切れと』

「そう」



ということで亮介の髪を切ることになった｡
髪の毛もらえるチャンスじゃん｡やったぜ｡

お風呂にて上半身裸になってもらう｡




『切るよ』

「いいよ､好きにして」

『リーゼント』

「あ､ユーモアは求めてないから」



まぁ切るときは真面目にしなきゃね｡

さらさらで綺麗な桃色の髪を切ってく｡
作業はわりと少しの時間で終わった｡



『じゃん！』

「いい感じ､ありがと」

『なんかお礼』

「卑しいねお前」



くすりと笑った彼は私の髪を持ち上げ

そこにするのかと思いきや口の端に
ちゅっと音をたててやってくれた｡



「じゃ､シャワー浴びるから」

『えっあの…もっかい』

「2回もしないよばーか」



ぴしゃっとお風呂の戸を閉められる｡


あ､髪の毛もらってなかった｡


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滝川クリス優→←伊佐敷純

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