【◇】Ace of Diamond

伊佐敷純 ページ14

*


『さーて純ちゃん』

「ちょ､話し掛けんの今は」

『幼馴染みのお姉さんを無視ですか』



お姉さん寂しいな〜と言えば
眉間に皺を寄せて参考書を置いて
ベッドから降りてきてくれた｡



「ずるいっすよ」

『純ちゃん優しーい』

「へいへい」

『ちょっと休憩しよ』



折角お祝いに来たのに勉強ばっかり｡
まぁそれが当たり前なんだけどね｡
ちょっと息抜きしないと爆発するよ｡



『コンビニでケーキ買ってきた』

「マジか｡あざます」

『私のおやつだけど』

「なら見せるなよ！！！」



このショートケーキの苺みたいに
顔を赤くして私の頭をわしゃわしゃして｡
純ちゃんは本当そういうとこかわいい｡
とか言うとチョップくるから言わない｡



『しょーがないなぁ半分あげる』

「Aさんそういうとこあるっすよね」

『かわいいでしょ』

「…」

『黙るなし』



ケーキのパックの蓋に半分に切った
大きい方を乗せてあげた｡優しい私｡

焼肉とかの方がよかったかな｡



「あざす､いただきます」

『どうぞどうぞ』



子供みたいにケーキを頬張る純ちゃん｡
ほっぺに生クリームついてるよ｡



『ね､純ちゃん』

「ん?」

『ここ』



右頬をとんとんと指差して
クリーム着いてるよと伝える｡

顔赤くしちゃってかわいいなぁもう｡



「ば､馬鹿じゃねぇの」

『えっ?』



聞き返そうと思えば純ちゃんの顔が
ずいっと近付いてきて何なにこれ｡



「ん」



ちゅ､と案外柔らかい唇が頬に触れた｡

唇が離れても感触も熱も鮮明に残ってる｡
純ちゃん今のは何という勘違いですか｡
そんなの今までなかったよね!!?



『えっ?あの』

「はぁ?お礼にキスしろって」

『クリーム付いてますよ』

「はあぁ!!!?」

『少女漫画読みすぎです』

「それは別にいいだろーが！」



さらに顔を赤くする彼｡

照れ隠しに彼の背中をばしばし叩いた｡
余裕ないとこはあんまり見せたくない｡



『そういうのは好きな子にしなよ』

「好きな子ならいいのかよ」

『いいんじゃない?』

「ふぅん」



するとまた､ちゅっという音が｡

額に触れた温度が顔に広がってく｡
ちょっと待ってストップ鼻血でる｡



「こういうことな」

『純ちゃんちょっと』

「ケーキご馳走さま､勉強しまーす」

『うわ､せこい！！！』



私を見て笑う純ちゃんがすき｡


言わないけど伝わってるんでしょ｡


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