結城哲也 ページ13
*
『卒業おめでとう哲也』
「Aもな」
『うん､ありがと』
桜が散るなかをふたりで歩いてく｡
青道高校を卒業した私達3年生は
後輩に見送られ未来を託してきた｡
『いい後輩をもったよね』
「本当にな」
『あ〜…何か寂しい』
「いつでも会いに行ける」
『うん』
じわり滲む涙を青道の匂いのする
袖で拭き取って何度か瞬きした｡
しかしその頭を哲也に優しく撫でられ
ぐしゃぐしゃになった想いがまとめて
涙となって溢れてきてしまった｡
「え」
『撫でるのずるい…』
「すまない」
幼馴染みという関係が進展することは
なかったけど､恋人と同じくらい彼は
私の隣にいてずっと励ましてくれた｡
でも進路が違うから､もう隣に彼はいない｡
『…っ､うう』
「Aは泣き虫だな」
『すいません…』
その優しい声も大きな手ももう｡
青道との別れと同じくらいそれは悲しくて｡
そんな私を困った目で見詰める彼は
ふと何かを思い付いたらしく手を叩く｡
そして私の手を取って歩き出した｡
『てつや…?』
「蕎麦食いに行くか」
『えっ』
「代金はもちろん俺がだす」
『なっ､なんで急に』
「卒業記念だ」
ぐんぐん進んでく哲也についてくのが
精一杯で何度かつまずきながら走る｡
連れて来られたお店は哲也のお墨付き｡
店内は出汁のきいたお汁の匂いがして
ついついお腹が鳴りそうになる｡
「座敷だそうだ｡行くぞ」
『うん』
奥の座敷で向かい合うように座る｡
すぐ哲也がざるそばを頼んでくれて
数分すると美味しそうなお蕎麦がきた｡
「いただきます」
『いただきます』
そのまま､ずるずるとお蕎麦を食べる｡
お互い何も話さないからちょっと気まずい｡
というかお蕎麦食べる哲也いけめん…｡
「なぁA」
『ん?なに』
「言いたいことがある」
真剣そうな顔にどきりと胸が鳴る｡
彼が箸を置いたので私も合わせて置いた｡
「ずっと側にいてくれないか」
『えっ』
「好きなんだお前が」
『いやちょっと』
「?」
色々と言いたいことがあるけど
口は声のない笑いを漏らすだけで
何故かなにも言えなかった｡
「嫌なのか」
『そんなことないよ私も好き』
「そうか､ありがとう」
口許を綻ばせる彼に私も口角が上がった｡
やっぱり彼が好きだとまた実感する｡
「あぁ､ちなみに」
『ん?』
「蕎麦だけにな」
『…』
まったく哲也はお茶目さんなんだから｡
.
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なつみかん(プロフ) - 黒糖団子さん» 完結おめでとう!!!これを見るとアニメが思い出されてじーんってなっちゃう…サナーダのナポリタンが羨ましいぜ…黒糖ちゃんのサナーダイケメンすぎて…イラストもかわいすぎました…亮さん髪短い…!!更新お疲れ様でしたー!!これからも頑張ってねー(´∀｀*) (2016年5月14日 17時) (
レス) id: 29ab7b3f96 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖団子(プロフ) - 詩音さん» ありがとうございます(( ´∀ ` * ))にやにやしてくださって嬉しいです…！痴漢並みの不審者(笑)詩音さんはきっとかわいらしいので大丈夫です｡無事完結しました！他の作品の更新も頑張ります…！ (2016年5月14日 16時) (レス) id: 0e6a6706bc (このIDを非表示/違反報告)
黒糖団子(プロフ) - 乃野七さん» ありがとうございます！倉持推しの乃野七さんに倉持を褒められたときは本気で嬉しいです…｡雅さんは精一杯ハンサムになるよう書きました(笑)気に入ってくださってよかったです(( ´∀ ` *)) (2016年5月14日 16時) (レス) id: 0e6a6706bc (このIDを非表示/違反報告)
黒糖団子(プロフ) - まもたんさん» こちらこそお久しぶり大根です！(笑)ありがとう！上手いだなんて勿体ないお言葉…(* ´ 艸`*)無事完結しました！これからも宜しくです！ (2016年5月14日 16時) (レス) id: 0e6a6706bc (このIDを非表示/違反報告)
黒糖団子(プロフ) - すたさん» わー！ありがとうございます！すたさんからコメントを戴ける日が来るとは…(感動)｡投手コンビかわいいですよね！楽しんでいただけた様でよかったです｡わわ､嬉しいです｡私もすたさんを全力で応援します！(` ･ω･ ´) (2016年5月14日 16時) (レス) id: 0e6a6706bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒糖団子
| 作成日時：2016年4月7日 18時
