21.ht side ページ21
ht side
あれは、俺が高校二年生の時。
委員会の仕事も無く一人で帰路についていると、ふと猫の声が聞こえた。
鳴き声が聞こえた方を見ると公園があった。
そこには段ボール箱の側で猫を抱えた女の子がいた。
「(まさかあの人、猫を捨てる気じゃ！！！)」
俺は幼い頃から多くの犬や猫たち動物と共に過ごしてきた。
だから余計かもしれないけど、
俺は動物が大好きで、学校でも飼育委員を率先してやっている。
当番の日じゃなくても、毎日うさぎ小屋に通い、
毎日花壇の手入れをしていた。
そんな俺は、目の前で首輪のついたままの猫が捨てられそうな状況に目の当たりにし、ふつふつと怒りの感情が湧き上がってきた。
でも次の瞬間、その女の子が声を発したんだ。
『君、迷子なん？首輪も着けてるけど、、、私の家に連れて帰ってあげられる訳じゃないんやけど、一回、一緒にお医者さんのとこ行こっか？』
『そんで大丈夫やったら、一緒に飼い主さん探して、もし見つからなかったら、新しい飼い主さん探そう！私も手伝うから！』
みゃ〜おと彼女の言葉に返事をするかのように猫が鳴いた。
俺の周りには、流石に動物虐待までするような人はいなかったが、ここまで動物に愛情を注いでいる人を見たのは初めてだった。
まずは交番に迷子の猫を探してる人がいないか聞いてみようなぁ〜と猫を安心させるように言いながら、
彼女は猫を抱っこしたまま、交番の方へと向かっていた。
「(彼女、うちの学校の制服着てたから、同じ学校なのかな。)」
名前も知らない見ず知らずの彼女のことが、なんだか気になってしまった。
そして次の日、まずはあの子が誰なのか知らないと、と思い立った俺は、トントンに頼んで生徒名簿を見させてもらった。
名簿は写真付きだったので、彼女の顔さえ覚えていれば、名前が分かるはずやと考えたんだ。
、、、あった。
どうやら彼女の名前は「水瀬A」と言うらしい。
あ、この子一年生か。俺の一個下なんか。
あの猫は俺が捨てた猫だったわけじゃなかったけど、
やはり動物が好きなのだろうか、
花にも興味があったりしないか、
彼女と話がしてみたくなった。
なんとなくそう思った。
やっと会えた彼女は想像通り、動物や植物を愛でてくれる、優しい人だった。
彼女と会話したのは初めてだったから彼女のことを知らない風に話したけど、
今度会えた時には、名前知ってるって言って少し驚かしてみようかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「d!」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒翠(プロフ) - 宇タさん» わ！コメントありがとうございます〜！いやぁ楽しんでもらえて何よりです！ (2021年9月25日 13時) (
レス) id: 758961d143 (このIDを非表示/違反報告)
宇タ(プロフ) - 10のシャオちゃんに悶えてます。推しなので辛い〜可愛すぎ〜 (2021年9月24日 22時) (レス) @page10 id: 03f7136296 (このIDを非表示/違反報告)
黒翠(プロフ) - 鳴@紙さん» わわ！コメント、感想ありがとうございます！ヘタレくんって良いですよね、、、！実は私も鳴様の「食害ラブレター」拝読させて頂いてました！zmさんがめちゃくちゃ可愛くて最高でした、、、 ; ; (2021年9月13日 15時) (レス) id: 758961d143 (このIDを非表示/違反報告)
鳴@紙(プロフ) - まだまだ読んでる途中ですがとても面白いです！私もヘタレ好きでよく小説書いてるんです…！ヘタレいいですよね、これから応援してます！更新頑張ってください！ (2021年9月12日 19時) (レス) id: 657ead465a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒翠 | 作成日時：2021年7月19日 15時
