悪役が慕われる所以 其ノ陸 ページ9
白河夜舟とはーー
ぐっすり寝込んでしまって、何が起こったかも理解できないこと。
あるいは知ったかぶりをすること。
ここでは前者の意味で使っています。
…寝てないけど。
(字数の問題でここに表記)
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〜Aside〜
「…ぅ゛…ぐっ……」
どさ、と地面に倒れ込む。
「お、い……大丈夫、か……?」
「私の心配は、いい……呼吸で…毒の巡りを、遅らせて…」
毒で震える手で、腰に着けている袋から薬を取り出す。
解毒薬を、調合して……
「毒、…あるの、何人…?」
「全員だ……」
全員分…間に合うか……?
「間に、合え…」
一個目が出来た。
「一番…最初に、くらった、村田…これを……」
鞘に仕舞った刀を杖のようにしながら村田さんの元へ行く。
「でも…お前、が……」
「私は、最後で、いい……だから…先に、飲んで」
「…………あり、がとう」
次。
二個目は宮本さん、三個目は鈴木さん、四個目は山野さんに。
もう支えても立てなくなり、這いずりながら解毒薬を渡す。
…もう、五個目を作る、余裕が…ない……
「お、い?…白城……!?」
意識が……朦朧とする……
「……皆さんが、生きているなら…それで…構いません……
…私の、事は……お気に…なさらず……」
あぁ、最後に口調が戻ってしまった……
…やはり、私は駄目人間…ですね……
〜村田side〜
初めは、何て嫌な奴なのかと思った。
俺達のことを散々馬鹿にしてくるし、口調が妙に腹立つし。
でも、聞き込みで子供に話し掛ける時だけ優しそうな声をしてて、何故かその声には嫌悪を感じなかったんだよな。
……戦う時、毒をくらった俺には、“無理に動くな”と言った。
さっきまで話してた感じ、無理矢理にでも戦わせそうなのに、と少し驚いてしまった。
自分が一番大事で、他人なんてどうでもいい。
そんな奴だと思ってた。でもーー
『目の前で仲間を見殺しにするような真似はしたくない。
助けられる命がそこにあるなら、私は自分の命を賭けてでも守り抜く!』
ーー違った。
逆だったんだ。
他人が一番で、自分は最後。
そんな奴だった。
鬼が、“俺達四人を差し出せば毒を抜いてやる”と言った時、アイツは、“ふざけるな”と言って鬼の首を斬った。
その後だって、最初に毒をくらった俺に最初に薬をくれたし、自分の分は後回しにして、三人に薬を渡してた。
…最後の言葉が、アイツの本当の顔だったんだろうな。
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こくらげ(プロフ) - 柚餅子椿さん» こちらこそありがとうございます!お待ちしてます〜 (2019年12月3日 22時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
柚餅子椿(プロフ) - ありがとうございます!はい、描けたらURLを貼らせていただきます…! (2019年12月3日 22時) (レス) id: 8588a4cb1f (このIDを非表示/違反報告)
こくらげ(プロフ) - 柚餅子椿さん» 全然大丈夫です!むしろこちらからお願いしたいくらいですから、とても嬉しいです!描けましたらコメント欄にURLを貼っていただければ幸いです! (2019年12月3日 16時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
柚餅子椿(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します!いつもお話楽しく読ませていただいおります!質問なのですが、夢主さん描かせていただきたいのですが大丈夫でしょうか…? (2019年12月3日 16時) (レス) id: 8588a4cb1f (このIDを非表示/違反報告)
こくらげ(プロフ) - こーりさん» いつもコメントをくださってありがとうございます!更新頑張ります! (2019年11月27日 19時) (レス) id: 1529cffae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こくらげ | 作成日時:2019年10月8日 23時