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最後の学園祭、前日 ページ6

「ふー、ふぅ〜…
あれあれぇ?ふーせんふくらまないよぉ〜…」


教室の飾りつけで俺と翠川を含む数名は風船を膨らませていた。
風船でバレーを始める男子達の足元で、こつこつと風船を膨らませる翠川が視界に入る。


「下手くそ」

「むむむぅ?さとみくんにこのむずかしさはわかんないよぉ〜だ」


負け惜しみなのかは分からないけど、それこそ風船みたいにほっぺを膨らませて、再び膨らませ始めた。

…やっぱり、あの時の翠川は、俺の気のせいだったんだろうか。
あの時俺疲れてたしな、しょうがないか。うん。


「里見ー、」


諏訪に声をかけられて振り向く。
するとクラスへ渡された資金の袋とメモを渡された。


「赤の絵の具足りないから追加よろしく。」

「…ブッキー美術教師なんだからパクればいいだろ」

「他のクラスも使いまくったせいか赤がないんだよ。
あとついでに装飾で使えそうなのあったら買ってきて。」


…クラスの女王からのご指名である。
此処は行っておかないと後々面倒なことになるので、大人しく行くことにした。


「翠川」

「あー!ちょっとさとみくん!
さっきまでいーかんじにふくらんでたのにぃ〜!」

「俺の買い出し付き合って」

「…え?」


だけどタダで行くとは言ってない。
どうせだし、荷物持ち代わりに連れて行こう。


「…何でわざわざスイなわけ?」

「翠川死ぬほど風船膨らますの下手くそなんだよ」

「むぅ!さとみくんがうますぎるだーけー!」

「いや風船膨らますのに上手いも下手もあるかよ」


石倉の冷静なツッコミでまた翠川が拗ねた。

そんな翠川のほっぺをつんつんと突き、面白がっている諏訪の姿が見られる。お前翠川のこと好きなのか嫌いなのかよく分からねぇよ。


「スイ、ミスター魁皇殿堂入りからのご指名だよ?」

「むぅ〜ん…これってさぁ、わたしにめりっとってあるのぉ〜?」


翠川ってメリットデメリット知ってるのか。初めて知った。


「里見とのドキドキ買い出しデート」

「あ、それだけ?それならやだ!ふーせんふくらます!」


断りやがった。バカのくせに。
つーか俺<風船かよ。無機物に負けるとか屈辱だわ。


「翠川さん!海斗のお願い断るとか何様なわけ!?」

「大人しく行ってきてよ!」

「けど海斗に色目使ったら殺すから!」


親衛隊の過激な発言に辟易とする。
どのみち言ったところでこうなるのは分かってた。



.





…まぁだから俺は、今俺史上最大にムカつく女な翠川を誘ったんだけど。

最後の学園祭、買い出し→←最後の学園祭、2週間前



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設定タグ:3年A組 , 里見海斗   
作品ジャンル:恋愛
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涼宮美桜 - このお話すっごく好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます!! (2019年3月30日 15時) (レス) id: 67fa9efd8d (このIDを非表示/違反報告)
ぺんちゃん(プロフ) - viva…。GJ…。お空のぼれそう… (2019年3月19日 20時) (レス) id: b91641893d (このIDを非表示/違反報告)
ぺんちゃん(プロフ) - 最高です!まさかスピンオフをみれる日が来るなんて…!!本編も愛読してます!私もスイちゃんなりたい…里見くんに愛されたいです… (2019年3月7日 20時) (レス) id: b91641893d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無音 | 作成日時:2019年3月7日 18時

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