３０.願い ページ31
side⇒三毛縞斑
薫「何これ、魔窟の入り口！？」
晃牙「何勝手なことしてんだよ！早く開けろ！！」
光「中に入れないんだぜ〜…」
陸上部の部室の扉に有刺鉄線が張り詰めている。その上板まで。
…Aさんの仕業だな。
斑「…嵐さんと、うまくいかなかったんだな。」
アドニス「……音霧は、大丈夫だろうか。」
零「斑くん、中に入ってAの嬢ちゃんの様子を
見にいってきてはくれんかのぉ？」
斑「…勿論です。」
板を剥がしていく。
有刺鉄線を一つずつ外していく。
あとは…開けるだけ。
斑「入るぞ、Aさん」
■□■□■□
部室は散乱していた。
色々な物が落ちていたり、平行を保てていなかったり…
その奥に、布に包まれた丸いものを発見した。
…Aさんだな。
物を一つずつ片付けていく。
斑「Aさん」
『………』ﾋﾟｸｯ
斑「嵐さん、泣いてたぞ。
きっと何か理由があるんだと、ママはそう思うぞ。」
『…なら、何で私に言ってくれなかったの。』
斑「言わなかったんじゃない。言えなかったんじゃないのか？」
『私…ナルちゃんの親友なのに……』
斑「親友だからこそ、言えないこともあるんだ。
もしママもAさんに言えないことがあったとしても、きっと言わない。
確かにそれはAさんを傷つけることだが、
同時にAさんを守ることになるからだ。
今回のことは誰も悪くない。
嵐さんも…Aさんも、な。」
布の物体がのそのそと俺の元へ近づいてくる。
そんな布を、俺は思いっきり剥ぎ取った。
斑「だからAさん、自分を責めなくたっていいんだぞ。」
『っ、うぅ〜…っ！』
ぐちゃぐちゃなその顔を手でそっと掴む。
あふれる涙を、指ですくい取る。
斑「大丈夫大丈夫。
Aさんには、ママがついてるからな。」
『…っ、ひっく、ナルちゃ…
私、ナルちゃんに、酷いこと、言っちゃって…っ！
私、うっ、ナルちゃんに嫌われた、のかなぁ……
そんなのやだ…やだよぉぉぉぉ…！
まだ、らっ…助けて、斑ぁ……！』
そう言って、また泣き出すAさん。
これが、Aさんの願い。
Aさんはずっと誰かの願いを叶えようと走っていた。
斑「あぁ…俺に任せろ、A。」
…なら俺は、そんな君の願いを叶えよう。
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レス) id: 9f94443348 (このIDを非表示/違反報告)
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