かさねあい【九井一】

初恋.4 ページ4

九井「A…」
貴「なぁに、はじめくん」

九井「もうどこにも行かないで欲しい…」
貴「……行かないよ。はじめくんの傍にいる」

赤音さんじゃ、ないのに
そう言われて安心する俺は愚かなんだろうか

馬鹿なのだろうか
…わかってる、独り言だ

貴「はじめくんも…いなくならないで…」
九井「…ならない…絶対、、約束する…」

彼女も愚かだ
俺は彼女が求めてるはじめじゃない

ソファーに座ったまま
Aさんを上に乗せて抱きしめる

貴「ふふ、痛いよ。はじめくん」
九井「ごめん」

そう謝っても腕の力は緩めない
緩められない

どんなに強く抱き締めても
不安が消えない

俺たちを隔てる互いの服ですら邪魔で…
苦しくなった…

ただ赤音さんに似ているってだけなのに
何年も、何年も、何年も…

ずっと赤音さんを求めてきた俺は
すでに限界を迎えていたらしい

握る手も、抱きしめる腕も
緩めてやることが出来なかった

九井「したい事もやりたい事も、全部叶える」
赤音さんにしてあげられなかった分を

貴「ありがとう…でも、はじめくんがいるだけで私は充分だよ。他に何もいらないから、隣にいてね」

九井「…っ、」
それは一番

俺が求めていた言葉だった
今の金ばかり求める俺を見たら

赤音さん、そう言ってくれたかな…
俺が隣にいるだけでいい、って…

言って、くれたかな…
九井「赤音さん…」




好きじゃない【半間修二】

半間のお話です！
よかったら読んでみてください！

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