僕らの場所 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:30,653 hit

雅side ページ3

目をつぶって顔を歪めているがきっと同い年くらいであろう。
色白で整った顔をしている。

ぼーっと彼を見ていると枝が折れ音を立ててしまった。
その途端に彼はこちらを見た。

空気がピンと張りつめた。

とても長く感じたが実際は数秒の出来事だったのだろう。
始めに僕が目をそらした。

なぜなら見つめ合った目は金色に輝いていたから。

彼が昨日、街を襲った犯人だろうか。

それなら近づくことで殺されてしまうかもしれない。

でもその弱った姿を見るとなぜだがほっておけない。

僕が一歩近づくと彼はキッとこちらを見た。
僕はゆっくり、少しづつ近づく。

彼まであと3歩というところで彼が動けない理由を知った。

彼の周りは赤に染まっていた。

僕は息を飲んだがゆっくりと進み彼の横にしゃがんだ。

彼は今にも襲いかかりそうな鋭い目をしているが怪我の具合から襲い掛かることは困難であろうと感じた。

雅「怪我してるの？」
僕は当たり前なことを聞いてしまった。

彼からの返答はない。

彼はあの池のことを知っているのだろうか。
あの池に向かっているのなら手助けはできない。

しかしこの怪我であの池までたどり着けるだろうか。

雅「池に向かってるの？」

少し間をおいて彼がうなずいた。

冷酷なイメージが強い吸血鬼でも命は惜しいものなのだなと思った。

しかし彼は1日中ここにいて朝よりも弱っているのは確実である。

僕の考えでは彼はここで死ぬだろう。