救世主 ページ10
それから私と涼太くんは、2時間くらいマシバで話した。
涼太くんが気を遣ってくれていたから、話題は尽きることなくて。
外に出ると、もう空は暗くなりかかっていた。
「今日はありがとう」
「こちらこそッス」
「あー…っと……はいこれ。昨日くれたお金」
「え?」
「やっぱり悪いから…」
私がそう言うと、分が悪そうに笑う涼太くん。
「なんか俺、かっこ悪いッスね」
やっぱAちゃんには敵わないッス、と言って、私の手からお金を受け取る。
「じゃあ、また。気をつけて帰ってくださいッス」
「涼太くん帰らないの?」
「俺はちょっと用事あるんで」
「そっか…それじゃあまたね」
小さく手を振ると、涼太くんも返してくれた。
大きな背中はどんどん遠くなっていって、やがて私はそこに1人。
「…よし、帰ろう」
くるりと体の向きを変えて家に向かう。
その途中、なんだかガラの悪い3人組に出会ってしまった。
やっぱり今日はツイてない。
「あれぇ?カノジョ1人?」
「暇なら俺たちと遊ばねぇ?」
なんちゅうありきたりなナンパだよ。
「それは非リア充に対する挑発ですか、そうなんですね」
「なに、彼氏いねーの?こんな可愛いのにもったいないねェ」
「俺たちがかわいがってやるよ」
あっという間に囲まれて、3人のうちの1人が私の肩に腕を回した時
「そいつが可愛いとか、眼科をおすすめしますよ」
その声と共に、回されていた腕が離れる。
見ると、救世主であろう男の人が1人の不良の腕をひねり上げていた。
「いででででッ」
「なっ、なんだテメェ!」
「邪魔してんじゃねぇよ!!」
「…あ?……うるせぇな…さっさと消えろよ」
低く威圧感のある声に、男たちは小さく悲鳴を上げて逃げていった。
「あっ、あの…ありがとうございま……………え」
「……なにしてんだよお前」
「な、な、な…っ…なんで花宮くんがっ…?!」
「買い物の帰りだよ、悪ぃか」
まさか花宮くんが助けてくれるなんて…。
というか
「ずいぶん失礼なこと言ってくれますね」
「あ?」
「私が可愛いとか眼科おすすめする、なんて」
「…なんで覚えてんだよ」
「まぁ私かわいくないですけど、その通りですけど」
「あぁ、ブスだな」
うっ…今のグサリときましたよ?
「っ…た、助けてくれたことは感謝します、ありがとうございました」
軽くお辞儀をして、足早に家へと向かった。
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作者名:ここあ。 | 作成日時:2015年1月17日 13時