壁 ページ9
俺の家の向かいに住んでいる女の子。
俺より一つ年上の女の子。
名前はAちゃん。
小さくて、笑うとすごく可愛くて、なんだか放っておけない。
先輩なんて壁、見えないくらい俺に良くしてくれて。
でも、ちょっとイケるかもって思って手を伸ばすと、するりと逃げていってしまう。
「俺なんてどうッスか?」
何度このセリフを言っただろう。
結構マジで言ったのに、いつもの冗談だとしか受け取ってもらえない。
そんな俺の前で、ほら…
君は他の男のことで腹を立てたり、慌てたり、悲しんだりする。
俺にはいつも、困ったような微妙な表情しか見せてくれないのに。
あぁ…今まで見えなかった先輩後輩の壁が
こんなところで見えてしまうなんて。
「年下って、やっぱ恋愛対象外ッスか」
「うーん……そうだなぁ…でも付き合うなら同い年がベストだよね」
ほらまた、そうやって困った顔しないで…。
そんな顔でそんな言葉、聞きたくないッスよ。
「そうッスね」
笑うことしかできない俺は
臆病で卑怯だ。
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作者名:ここあ。 | 作成日時:2015年1月17日 13時