突然のお誘い ページ6
次の日の朝、昨日のことがあったせいか
なんとなく学校に行くのが憂鬱になっていた。
面白いくらいに、いつも通り私のかなり前を歩く花宮くん。
すでにこの状況が憂鬱だ。
そしてなぜだか、こういう日に限って花宮くんと会う機会が多くて。
合同授業でも、休み時間でも。
なんで私はこうもツイてないんだ…。
「あー…疲れたーっ」
1日の授業が全て終わり、私は机に突っ伏す。
それと同時に鞄の中の携帯が震えた。
ディスプレイには “黄瀬涼太”の文字。
「え、なんだろう…」
疑問を頭に浮かべながら、そっと携帯を耳に当てる。
「もしもし…?」
『よかった、出てくれた』
「どうしたの?」
後ろの方で女の子たちの黄色い声が聞こえる。
また囲まれちゃってるのかな。
『いや〜…今校門の前にいるんスけど…』
困ったような声を出す涼太くん。
というか校門の前って…
『出てきてもらっていいッスか?』
…ですよねぇ……。
「それはいいんだけど…私と一緒にいるとこ見られたらマズいんじゃ…?」
『あ、それは問題ないッスよ!』
「ん…じゃあ今行くね」
そう言って携帯を切る。
手早く準備を済ませて玄関へと足を運ぶ。
学校の外へ出ると、女の子の大群の中心に涼太くんがいた。
私に気づいて手を振ってくる。
「うっ…」
女の子たちの視線が痛い……。
ほんとにこれ大丈夫なの?!
「もー、Aちゃん遅いッスよ」
黄色の巨体が目の前に……。
「え?いや、だいぶ急いだんだけど…」
「黄瀬くんっ、その子だれ?!」
「黄瀬くんのなんなの?!」
案の定、質問攻め。
私がチラッと涼太くんを見ると、心配しないでと言わんばかりの笑顔を見せられた。
「この子は俺のいとこッスよ」
「え?」
予想外の答えに、みんなが唖然とする。
「今から買い物付き合ってもらうんで、道あけてもらってもいいッスか?」
その言葉で自然と女の子たちが掃けていく。
「ねっ、ねぇ涼太くんっ…」
どんどん先に行ってしまう涼太くんの背中に、言葉をぶつける。
くるりと振り返った涼太くんは、いつも通りの笑顔を浮かべていた。
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作者名:ここあ。 | 作成日時:2015年1月17日 13時