恋する理由【Nino】 (ページ6)

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車窓から眺める街並みは、クリスマス一色。

閉店した店先にもイルミネーションがキラキラ光る。

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本当、綺麗・・・・・・・・

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と思いたいのに、走り出してしばらくしたころ

酒酔いの気持ち悪さで、景色どころじゃなくなった。

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あぁ・・・もう最悪・・・。

ていうか、こいつがマフラーぐるぐるにしすぎで苦しいのよ(泣)

声すら出しづらいし。

あぁーほどきたいけど、もう頭もガンガンして動けない。

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埋もれたキツキツのマフラーから救いを求めてそっと隣を見ると

スマホをすごい速さで操る、白い指先が見えた。

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「・・・ね・・ぇ」

和「んー」

「まだ・・・かな？」

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手を止めて、外をのぞく。

それからまた手元に視線をもどした。

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和「あともーちょい」

「そ・・・」

和「トイレ―ーとか言うなよ」

「ちがう・・・けど」

和「なによ」

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「・・・ぎもぢわる・・い」

和「・・・・・うそ、だろ」

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そっからのあたしたちは必死だった。

”キモチワルサ”から意識を遠ざけようと

窓の外にうつるもの全てを声に出せと言われて

半泣きで、看板やら標識やら震える声で読み上げる。

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とにかく何か喋ってりゃなんとかなる、とカズが言うのを信じて。

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マンションの前について、半ば引きづりおろされた瞬間。

見えたタクシーの運転手さんの顔は

”俺の車で吐かれずにすんでよかった”

という安堵感があからさまに出ていて

「すいませ・・んでした・・・」

と頭を下げたら

和「上向いとけ、バカ！」

また怒鳴られて、ぐいぐいとエントランスに連れて行かれた。

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豪華だなって、朦朧とする意識の片隅でちょっと思う。

エントランスからエレベーターから何もかもが立派なつくりで

正直・・・カズっぽくないなって思ったけれど言わなかった。

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