短編集『恋日記。』【Ｎ】 (ページ27)

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珍しくお互いの休みが合って、

久しぶりに2人で過ごしているというのに、

何故他の男の話を聞かなければいけないんだ。

「時がたてば宝石もガラス玉さ、」

「……。」

るんるんとした様子で歌っている彼女に近づいてみるが、

歌に夢中になっているのか、気付きやしない。

「１２時の鐘を、」

「……ねぇ。」

「うわぁ…？！」

おぉ、すげぇ反応。

お世辞にも可愛いとは言えないような声を出した彼女は、

余程驚いたのか、大きな瞳をさらに丸くして振り返った。

「び、びっくりした。」

「どんだけ夢中で歌ってんのよ。」

「和也さんゲームしてるんだって思ってたから。」

小柄なその身体を後ろから抱き締めると、

きゅっと小さくなった彼女は、えへへと無邪気に笑う。

「どうした？」

「今日初めてくっついたなぁって思って。」

彼女の肩に顎を乗せると、

「くすぐったい。」と言って笑った彼女は、

お腹に回した俺の腕に自身の手を重ねた。

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