短編集『恋日記。』【Ｎ】 (ページ28)

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「100年先も愛を誓うよ、」

「曲変わった。」

「和也さんの歌声、好きです。」

ふわり、と柔らかい笑みを浮かべた彼女の顎先を掴んで、

此方を向かせてキスを落とせば頬を紅く染めた彼女は、

ｺﾂﾝ…と俺の胸に顔を埋めた。

「…100年先も……。」

「ん？」

「…ううん、何でもない。」

へらっと笑った彼女は、

ちゅ、と戯れるようなキスを落として、また洗濯物を手に取った。

“100年先も愛を誓ってくれますか。”

彼女の言葉を最後まで聞いてはいないけれど、

そう問いたかったのだと分かってしまった。

「ゆーあーまいそーそーいつもすぐそばにある、」

「…A。」

「うん？」

デビュー曲なんかを口ずさむ彼女の名前を呼ぶ。

「和也さん、どうしたの？」

「………。」

「和也さん…？うわっ？！」

名前を呼んだきり何も言わない俺の顔を覗き込んだ彼女を、

思い切り引き寄せると、案の定バランスを崩して此方へ倒れた。

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