Letter35 ページ35
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────ねぇ!生きてよ!行かないで!
僕を置いてかないでよ!
誰?私を引き止めるのは。
────Aさん、貴方の余命は…
辞めて。もう生きられないのは知ってるの。
────僕と、結婚して下さい、必ず守るよ。
そうやって愛をくれたのは、誰?
────1人で何もかも受け入れないで。僕も一緒だよ。
私を1人にさせなかった人は誰?
────もういいよ。×××のとこ行けば?
私が貴方にそう言わせてしまった。…誰に?
────ねぇ、浮気?僕から離れないでよ!
嫉妬深いクセにちょっと我儘で可愛かった貴方は誰?
────お花見デート楽しみにしてる。
ツンデレなクセに可愛い事言ってきたのは、誰?
────×××とお花見?大丈夫なんですか?
どうして私をそんなに心配してくれたの?
────貧血気味なんですか?顔色良くない気がします。
私のちょっとした変化にも気づいてくれたのは何故?
────もういいよ。彼氏の僕じゃなくて
ずっとそうやって×××くんを頼ってればいいじゃん。
ごめんごめんごめん。貴方にだけは、言えなかった。
強い彼女でいたかった。
弱い女だと幻滅されたくなかった。
結果的にそれが彼を苦しめた。
────Aっ!救急車!誰か!助けてください!……彼女がっ!
なんでなんでなんで。貴方にだけは、言えたの。
弱い女でいたかった。
無理して強がってるだなんて思われたくなかった。
結果的にそれが彼を悩ませた。
『まま!さくらさいてるよ!きれい!』
「そうだねぇ。可愛い。何だかAみたいだね!」
私が桜みたい?なんでよ。可笑しいよ。変だよ。
「貴方の病気は、桜が原因のものです」
辞めて、もういいの。
私は何も求めない。だから、せめて、
……もう一度だけ
「……A、大丈夫ですか?」
『んぁ、あれ、るぅちゃん、大人だ…』
身体を起こせばそこは私の部屋。
さっきまで夕方だったはずの部屋はもう光を放っていない。
「取り敢えず電気つけますね?」
カーテンを閉めてくれる彼。
あれ、さっきまでのはなんだろう?
「帰ってもAの声しないし部屋覗いて見たらなんか机に突っ伏してなんか魘されてるし…心配したんですよ」
パチッと電気が着けば泣きそうなるぅちゃんが。
『それは、私が外に出たと思ったから?外に出たら私が死ぬから?死んだと思ったからなの?』
聞いちゃいけない事聞いた気がした。
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時