Letter27 ページ27
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週に3度の通院。
尋問にうなされ窶れて帰宅する私。
「A、おやつにカップケーキ買ってきましたよ！」
彼の繊細な心遣いに胸が痛む。
るぅちゃんにそんなつもりが無いのは分かってる。
でもただの私のご機嫌取りに見えてしまって嫌。
『……ありがとう』
2人で炬燵に入りながら可愛い
カップケーキを食べる。
……ピンク色。
それは桜を連想させたのか、彼は私に嬉しそうに声をかける。
「ねぇA！病気の症状昔より今は軽いんですよね！」
あぁ、忘れてた。
彼には病のことをまだ告げてなかったんだった。
『良くなってるのかはわかんないけど、先生にはまだ、春の外出禁止の話はされてないな……』
そう言えば。
私はてっきりこの通院で春の私の行動制限について聞かされるのだと思ってたけどまだ何も言われてない！
てことは！？出かけても平気…！？
「じゃあ、害がない程度でピクニック行きましょ！」
桜に苦手意識を持つ私を何とかしようとしてくれてるのかな。
それともころちゃんとの初デートがお花見だったから
その上書き的な？
分からない。理由は分からないけど、嬉しかった。
「……桜を遠目に見る感じになると思うけど！」
『……大丈夫！るぅちゃんとお花みたいよ！』
頭の中には
桜の木の下、とは言わないが桜を十分に見渡せる軽い丘に登って、レジャーシートを広げサンドウィッチを頬張る様子が浮かんだ。
鮮明にはっきりと浮かぶものだから私の胸は一気に春への期待が膨らむ。
……この楽しみを最後に、私は自 殺しよう。
命が惜しくなる前に、簡単と。
彼に私の思いを悟らせないように勢いよく顔を上げて言った。
心から。本心で。
『すごい楽しみ！』
「…はしゃぎすぎです」
……ﾁｭｯ｡
口に優しく触れた彼の唇。
彼とのピクニックを最後に私は身も全て捨てるから。
お願い。どうか私を、もうこれ以上縛りつけないで。
纏わりつかないで。
でも私はちゃんとそれが叶わないことを知っていた。
『いつもみたいにドクターストップかかる気がする』
いつでもフラグ回収はお上手なようで。
私が一瞬夢見た天国のような世界は底なし沼に引き連れられるように深く深く、一気に地獄へと降下していく。
私みたいな奴が夢なんか見ちゃ行けないことくら前々から分かってたのにね。
人間はいつでも残酷な程に夢見がちな哀れな生き物だ。
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます｡3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます｡1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います｡これを元に書籍化して欲しいくらいです｡颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです｡ (4月1日 3時) (
レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム･.｡*･.｡*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・！大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム･.｡*･.｡*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…！ (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん！素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯桜 | 作成日時：2020年3月1日 20時
