Letter3 ページ3
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「ねぇ?なんで昨日僕置いてったの…!」
朝からプクッと頬を膨らませぶりっ子する彼。
『私にも新しい友人が出来てね!なんか一緒に帰ろー?って流れになったから 』
ふぅん。
真新しい制服に身を包んだ彼はなんだかいつもと違って見える。
シワが何一つなく、癖もなく、パリッとしてる。
なんだか気まずくなっちゃった。
なら彼をからかおう!
『るぅちゃん!…カッコイイね? 』
隣を歩く人の足が止まった。
逆光でよくるぅちゃんの顔は見えないのが残念。
「…制服が、でしょ。 これだから天然は嫌だ」
『何?聞こえないー!』
「行きますよ。時間もほら!僕だけ先に電車乗っちゃいますよ〜」
私を置いて突然走り出すから慌てて追いかける。
車窓からは美しい桜が沢山見える。
この景色をるぅちゃんと眺めるのが好き。
ヴーッ
「…マナーモードにしないとダメですよ」
スマホが突然鳴るから肩を大きく揺らす。
ロックを解除すれば。
私の頬は当然緩む。自分でも分かる。
今絶対やばい顔してる。
ころんA遅刻すんじゃねぇぞ?
ころちゃんからの何気ない一言でこんなに舞い上がってる私。
「こ、ろ、ん?男ですか、そいつ。」
心做しかるぅちゃんの機嫌が悪い気がする。
でも私は初恋のドキドキ感をそのまま彼にぶつけた。
『うん!仲良しなの!』
「次でもう降りますよ」
いや、そんなの知ってるわ。
私の方が1年先に通ってるからね?!
電車のドアが開けば可愛らしい春の空気が
全身に入ってくる。
「…A、あれ」
不意にるぅちゃんが指を指した。
視線は白い肌に青髪がよく映える好青年を捕える。
「彼奴がころ…」
『 え!なんでいるの!?』
るぅちゃんの声をさえぎり私は歓喜の声を上げる。
『おはよう!』
「ん。…隣の奴、誰?彼氏?手なんか繋いで」
……へ?
視線を下に落とせば私の右手は彼と繋がっていた。
私が気づかないほどストレートに手を取られたの?
確かに私たちは幼馴染だけど、そういうのは弁えているつもりだった。
手なんて繋いでくるような人じゃないのに。
『るぅちゃん?ほら、手…?』
離して、という趣旨で声を放てば君は何故か力を込めた。
「A」
「……っ」
『え、今なんて?』
彼はころちゃんに何か耳元で囁くと呆気なく手を離し、1人でそそくさ学校へ向かってしまった。
その場に取り残された私ところちゃんは気まずく駅のホームに取り残される。
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mei - 何年経ってもこの小説が素敵すぎて読みに来てしまいます。3人それぞれの視点で読み返してみるとより深く考えさせられます。1つのお話として本当に素晴らしい作品だと思います。これを元に書籍化して欲しいくらいです。颯桜さんの書く素敵な物語に出会えて良かったです。 (4月1日 3時) (レス) @page49 id: ece57623d6 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - イチゴジャム・.。*・.。*さん» 素敵なコメントありがとうございます・・・!大変光栄です。 (2022年2月21日 20時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴジャム・.。*・.。*(プロフ) - 小説、占ツクが好きになったのはこのお話がきっかけです。読んだのは結構前ですが、素敵な作品をどうもありがとう…! (2022年2月20日 12時) (レス) @page49 id: 3017e9e097 (このIDを非表示/違反報告)
颯桜(プロフ) - 凛月さん» 凛月さん!素敵なコメントをありがとうございます。元から文を書くことが好きで趣味程度に始めた創作ですがこのように誰かの心の中に残るようなものを残せてとても誇らしく思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。(私も凛月さんの作品好きです。) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 86b77a05e2 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - この作品を読んだのは随分と前のことなのに、今でも無性に読みたくなって、何度も戻って来てしまいます。占ツク外も含め、私が今まで読んできた小説全ての中で1番好きな作品です。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (2022年2月7日 0時) (レス) @page49 id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年3月1日 20時