【完結】残酷なまでに美しい彼女。2【青×黄】

Letter13 ページ13

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夏が始まった頃、あまり連絡を寄越さない僕の母親から1件の通知があった。

母Aちゃんの病気の症状が良くないみたい。気を使ってみてあげて

────？

Aの病気って
高校の時には良くなったんじゃなかったっけ。

そう思ったけれど再発だってありえるかもしれない。
取り敢えず気を配っておこう、大学も同じだし。

…ころちゃんよりも今は近くにいれるし。

僕の恋心は冷めることを知らなくて、今も隙を狙っていた。

先週のころちゃんからの相談を受けて、僕は大きなヒントを得てしまった。


Aはきっところちゃんからの愛に飢えている。


そこに漬け込んで僕が彼女を愛してあげれば2人の愛なんてあっという間に破滅してしまうだろう。

｢A！おはようございます！｣

振り返る彼女は何だか前より窶れて見えた。

『…るぅちゃん』

声が疲れている。

彼女の手に握られたスマホを見れば沢山の通知があった。

そのひとつに懐かしい名前がある。


｢また病院通うことになったんですか｣

そう問えば今にも泣きそうな顔で僕を見る。


『私、もうダメかもしれない…』

力ない声。

あぁ。

抱きしめてあげないと君は消えてしまいそう。

そっと肩に触れる。

君から香るシャンプーの匂いは先週会ったころちゃんとおそろいの匂い。


病気を知らない彼氏と同棲して、Aは幸せになれるのだろうか？



『昨日病院に行ったら、余命宣告されちゃった』

鳥肌が立つ。



『最近イライラ止まんないなって思ったら、病気の症状だったんだって』

ころちゃんが言ってたやつか。

『それでもころちゃんに当ってしまう自分が嫌』

彼女が僕の背中に腕を回した。



｢…ころちゃんに病気のこと言わないといつまでもこのままですよ？｣

声が震えている。余命宣告、なんだよそれ。

『絶対に言わないよ。ころちゃんには私が死んでも私の事引き摺らないで新しい恋して欲しいから』



──────もうじきころちゃんを私から振るよ。


彼女はもう既に自分の居なくなった世界のために動こうとしていた。


それなのにころちゃんはAを無視し続けている。

は？おかしいよね？そんなの。


それでもってAはまだころちゃんからの愛をしっかり求めている。


素直ではないけど、愛情表現だってしてるのに？


｢…A、僕をころちゃんの代わりにしませんか…？｣

これではあまりにもAが可哀想。

報われなさすぎる。

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